──今回は北川さんに「SKE48の今」をテーマにお話を伺いたいと思っています。
北川 よろしくお願いします。
──さっそくですが、最近の大きなトピックスでいうと、4月末にずっとSKE48を引っ張ってきた松村香織さんの卒業があります。
北川 個人的にもめちゃくちゃ好きなので、寂しいです。グループとしてもすごく大きいですね。香織さんがいるだけで場が和むというか、リハーサルのピリピリした雰囲気を一気に笑いに包んでくれる存在だったので。
──松村さんは後輩をビシビシ厳しく育てているのかなと思ったのですが、そうでもないんですね。
北川 チーム内ではそういう厳しい面も見せてるとは思うんですが、私はチームSでKIIの香織さんとはチームが違うのでそのイメージはないですね。私から見た香織さんは天然で抜けてるところが可愛くて。リハーサルの緊張した雰囲気の中、香織さんが振りを間違えて、みんなで笑って場が優しい空気に包まれてとかそういうことはよくあるんです。だからそういう人が卒業するのは悲しいですね。
──松村さんは須田亜香里さんと同じく、バラエティ番組で活躍して、SKE48を一般層に広げる役割を果たしていたと思います。
北川 そうですね。その通りです。番組で後輩たちが話につまっちゃったときにフォローしてくれたりしてたので、そういう実績もあって後輩たちに信頼されている先輩が卒業するのは大きいですね。
──時間が前後しますが、北川さんの後輩小畑優奈さんも3月末での卒業を発表しています。小畑さんの卒業についてはどう感じました?
北川 もちろん残念だとは思ったんですけど、ゆななの決めたことだから、私は応援したいと思います。
──卒業を知ったのは世間と同じタイミングだったんですか?
北川 前から知ってました。ゆななとは普通に仲がいいので、将来について話してるときに「実は卒業するんです」って聞いて。なんとなくその雰囲気を感じ取っていたので、そこまでは驚かなかったです。
──それはいつぐらいのことですか?
北川 ファンの皆さんに発表する3週間前ぐらいだと思います。
──そのときは北川さんに相談という感じではなかった?
北川 相談というより、たぶんもう決めてたんだと思います。だから私も止めたりはしないで「好きなことができればいいね」っていう話をしました。
──若手のホープと言われていた小畑さんの卒業はグループとしてすごく大きいと思うんです。でも、個々のメンバーにとってはチャンスという一面もあるんじゃないかと思うんですが、北川さんはどう思います?
北川 う~ん、私はゆななにはなれないので、不安の方が大きいですね。2回センターを経験してるメンバーでもあるし、総選挙でもランクインしてファンの方にも認められていますし。それってすごいことだと私は思うんです。そういう貴重な経験をしているメンバーが卒業する不安はありますね。ただ、さっきも言いましたが、本人が決めたことなので、グループとしても前を向きたいです。9期生も入ってきたので(昨年12月31日に初お披露目)、若手にどんどん頑張っていってほしいなって思います。
──9期生の話が出ましたが、今、北川さんは後輩とどんな接し方をしてるんですか?
北川 私、人見知りなんで今のところ絡みはあまりないですね(苦笑)。ただ、それこそチームSも今ではほとんどが後輩になって。先輩は(松井)珠理奈さんとらんらん(山内鈴蘭)とぴよす(都築里佳)の3人だけで他のチームに比べても少ないんです。学べる背中が少ないっていうのは後輩にとっても不利だと思うので、それを何かしらの形でカバーしてあげたいなって思って頑張ってるんですけど、難しいですね……。そもそも私、人に気持ちを伝えるのがすごく苦手なんですけど、チームのリーダーとしてはやはり言わなきゃいけないし。
──後輩に伝えるときに意識してることはありますか?
北川 怒らないことです。ちゃんと冷静に伝えることです。
──理論だってということですか?
北川 いや、そういうふうには言わないです。この子ちょっと気が抜けてるなって気づいた後輩には、ユニットの前とか気になったときに声をかけて「頑張っておいで」って目力で伝えるというか。言葉にするとシュンってなっちゃう子が今は多いので、まずは声をかけてプラスの方向に持っていくようにしています。
──すごい! ものすごく周りを見てるじゃないですか!
北川 そうですね、一応。公演中やリハーサル中は意識して360度周りを見渡すようにしています。とはいえ行き届いてない部分もあるとは思うんですが……。
──北川さんと言えば加入直後、あまり自分から話さず端で静かにしているイメージがあって、正直そうなるとは思ってなかったです。
北川 ですよね。
──何か変わるきっかけがあったんですか?
北川 リーダーになって2年経つんですけど、最初はホントに何をすればいいのかも分からなくて。ただ肩書だけあるみたいな感じだったと思うんです。憧れてる(宮澤)佐江みたいになりたくて(※宮澤は2014年4月から2016年3月までチームSのリーダーを務めた)、でもそれとはほど遠い自分がいて。それですごく悩んで泣いたこともあったんですけど、やっぱり自分は自分にしかなれないので、自分にしかできない周りに支えてもらうリーダーでいいんじゃないかなって思ったんです。頼りないこともみんな分かっていると思うので、その分手を差し伸べてくれる人だっているし、そういう形のリーダーでもいいんだなって思うことができたので、最近は割と楽な気持ちでリーダーができています。私は私なので、私なりのやり方でやらせてもらってます。
──当時、宮澤さんに相談したりは?
北川 いや、あまりしなかったです。悩みの種を増やすのも申し訳ないというか。大好きすぎて心配もかけたくなかったんです。それで1人で悩んでたんですけど、それじゃあ周りを心配させるだけでなんのプラスにもならないので、とりあえずやれるだけやってみようって思ってやったら、周りが支えてくれるんだってことに気づいたんです。得意じゃないことは周りがカバーしてくれて、今があります(笑)。
──なるほど、自分らしいリーダーでいられていると。
北川 はい。
──さて、グループの雰囲気についてもお聞きしたいんですが、昨年10月の劇場デビュー10周年の頃にメンバーの皆さんが「今のSKE48が一番面白い」と発言されているのが印象的だったのですが、あれから半年経って、グループ内の雰囲気に変化はありましたか?
北川 いい状態を維持できているかなっていうイメージはあります。急激にグンと上がったとか、ガンと落ちたというのはないんですけど、コツコツやっていけるのがSKE48だと思うので、一歩一歩確実にやっています。
──メンバーのモチベーションはどうですか?
北川 もう一度ナゴヤドームに立ちたいっていうのは先輩たちも言ってくれてますね。今はもうナゴヤドームに立ったことのない後輩たちの人数の方が多いので、そこを目指す気持ちは強いですね。
──前回のナゴヤドームが2014年の2月でした。今ではあの後に入ったメンバーの方が多くなりましたか。
北川 そうだと思います。だから今は後輩たちをちゃんと育てなくちゃいけないのと、同時にSKE48をさらに盛り上げていかなきゃいけないっていう2つがあって難しい時期だとは思うんですが、雰囲気はけっして悪くないと思います。
──北川さん自身、ナゴヤドームに対する思いは?
北川 前回は入って1年目ぐらいでナゴヤドームのありがたみも分からない状態だったんですけど、のちのち考えるとホントにすごいことだと思うんです。ナゴヤドームに立ってコンサートをしたっていうのはこの先も誇りだなって思うし、もちろん後輩たちのために目指さなきゃいけない場所だなって思っています。
──なるほど。では最後にそんな「後輩たちに受け継いでいきたいSKE48らしさ」で、北川さんが思うことがあれば教えていただきたいのですが。
北川 難しいですね……。う~ん……雑草魂かな。
──雑草魂ですか?
北川 はい。いい意味で諦めが悪いメンバーが多かったり、それこそ努力で上がってきた人が輝けるのがSKE48だと思うので、SKE48にいたら誰にでもチャンスがあると思うんです。だから這いつくばってでもしがみつく諦めの悪さが大事だと思います。
きたがわ・りょうは
1998年10月9日生まれ、愛知県出身。6期生。チームSリーダー。ニックネームは「りょうは」「うは」。2013年に6期メンバーとしてお披露目。2014年発売のSKE48 16thシングル『12月のカンガルー』ではセンターを務める。2015年3月から2018年5月まではAKB48チーム4との兼任メンバーとして活動。

SKE48江籠裕奈、北川綾巴、野島樺乃、菅原茉椰、野村実代のグラビアが掲載
『OVERTURE』018号 3月25日(月)発売
※左が表紙、右が裏表紙