──卒業を控えた松村さん。今回でSKE48のメンバーとしてインタビューするのは最後ということになります。
松村 もうインタビューのオファーは来ないと思っていたから……。何だかんだで『月刊エンタメ』さんはいつも取材してくださるからうれしいです!
──松村さんは、SKE48に入って10年近くなりますが、加入当時のことは覚えてますか?
松村 加入当時ですか……。仕事も少なくて暇でした(笑)。
──でも、月1回のSKE48のモバイルのブログをしっかり更新していたじゃないですか。
松村 でも、本当それだけ(笑)。毎日本当暇でしたよ!
──ちなみに毎日、何をしていたんですか?
松村 1人でパンを作ってました。
──(笑)。
松村 一緒に住んでいたきんちゃん(金子栞)は選抜で忙しくしていたから、私は基本1人でした……。よく(出口)陽さんが泊まりに来ていましたけど。
──レッスンは?
松村 あまり行ってなかったです。
──えっ!?
松村 覚えなきゃいけないことは覚えていたけど、レッスン場に行くことがストレスだった(笑)。
──どうしてですか!?
松村 当時、事務所がワンフロアで、入り口に絶対、支配人の湯浅(洋)さんとかがいたんですよ。あの頃、大人の人が怖かったので会いたくなくって。
──でも、どうしても行かなきゃいけないときもありますよね?
松村 はい。そういうときは、レッスン場に入る姿を大人たちに見られないように、かがんでサッと入っていました(笑)。それは私だけじゃなくて他の研究生たちもしていたから!
──そこまで苦痛でしたか……。
松村 だってあの頃の湯浅さんは一部のメンバーにとっては、レッスン場の恐ろしい門番みたいな人でした!
──今はどうですか?
松村 今は全然怖くないです(笑)。いいおじさんって感じ。仲もいいです。
──松村さんがくすぶっていた時代からの転機になったのは、Google+の配信でしょうか?
松村 そうですね。Google+というツールをもらったことによって、自由が手に入ったという感じでした。こういうのは、やったもん勝ちじゃないですか。
──どうしてですか?
松村 当時、モバイルメールを1日に20通くらい送ってたら、送りすぎだったみたいで(笑)、1日5通までっていうルールができちゃったんですよ、私のせいで(笑)。今はそんなルールないんですけどね。せっかく手に入れたツールだったのに悔しいって思っていたところにGoogle+ができたんです。
──そんなことがあったんですね。仕事があまりなくて辛い中、SKE48で踏ん張ろうと思った理由は?
松村 私にも意地があるし、何も残せてないのに辞めるのもなぁって。(斉藤)真木子とかが研究生から正規メンバーへ昇格したときと、後輩に新しく6期生が入ってきたときは、まだ研究生という自分の立場に焦ったけど、その頃の研究生公演は充実していたし……。
──本当に心が折れたときはありましたか?
松村 新しくチームEができたときかな。真木子たちが選抜から研究生に降格してきて、後輩である4期生が昇格したときは心が折れていたかも。
──でも辞めませんでした。
松村 ファンの方から手紙や、握手会で頑張ろうって言葉をもらったからですね。本当にファンのみなさんのおかげです。
──SKE48で、1番の思い出を1つあげるとしたら何でしょう?
松村 難しいなぁ。この間の卒業コンサート(2月5日・出身地埼玉県の大宮ソニックシティで開催)も大切な思い出だけど、やっぱりソロシングル『マツムラブ』を販売した日かな? ナゴヤドームの駐車場で、めちゃくちゃ雨の中で売ったのが1番の思い出です。1000枚限定発売だったけど、たくさんの人が来てくれて、すごくうれしかったです。平日だったから徹夜をしてまで来てくれた人もいて。
──加入当初の下積時代を考えると、ソロデビューに卒業コンサートと、どんどん活躍の幅を広げていてすごいですよね。
松村 そうなんです、めちゃくちゃハッピーです! ファンの方たちも「卒コンをできるまでなれたことは十分幸せなことだね」って言ってくれていて。卒業曲をもらえたこと、自分の名前がついたコンサートをやらせてもらえたことがすごくありがたいなって思います。今まで3期生で卒コンをしたメンバーはいなかったし、本当にうれしいです。
──Google+で秋元(康)さんに見つけてもらったことも大きいのでは?(2012年、秋元康氏がGoogle+で、松村という名のスタッフ向けにつぶやいた投稿に、松村香織が即座に反応し、一躍知名度を上げた)
松村 そうですね。Google+というツールが、すごく自分に合っていたなって思います。もし今の時代にSKE48に入ったとしたら、ツイッター、インスタグラム、SHOWROOM……と配信するものがありすぎて無理だったと思う。きっと裏アカを作っていただろうし(笑)。
──では、SKE48時代で、1番悔しかったことは?
松村 スタッフさんに「お前にはチャンスをあげない」って言われたときが1番悔しかったかな。
──そんなことが!
松村 ぐぐたす(Google+)が始まるちょっと前かな? あまり仲が良くないマネージャーさんに言われて(笑)。でも、あの言葉があったから「あなたにチャンスをもらわなくても上へいきます」って強く思えたし、奮起しましたね。
──では、1番悲しかったことは?
松村 金子(栞)が卒業したときは1人でずっと泣いてました。すごく情緒不安定になって。金子は家族の一員みたいなものだったから、もう悲しくて(笑)。
──この先、アイドルを辞めたあとの進路は決まっていますか?
松村 まずは、フリーで活動していこうかなって思ってます。
──応援しています! では本当に最後のメッセージを。
松村 まずはメンバーへ。
(『月刊エンタメ』6月号より)
▽はみ出しコラム「松村香織のアイドル人生で一番高い買い物はコレ!」
ドライヤー/4万円
私、口座からお金が減るのが怖いんですよ。だから基本、お金を使いたくない! でもドライヤーだけは、アイドルだしいいモノを使おうと思って買いました。必要経費だと思っていますけどね。でも高いだけあって、髪にはいいかなって。もうハゲたくないし(笑)。
美顔器/4万円
これもアイドルとしての必要経費で買いました。
車の免許取得/25万円
SKE48時代に1番お金を使ったのが免許代です。最初30万円って言われたんですけど、高いから安くして欲しいってお願いしたら25万円になりました(笑)。こう話していたら、私って本当にお金を使っていないかも……。無料でもらえるものなら、なんでももらいたいです(笑)。
▽松村香織(まつむら・かおり)
1990年1月17日生まれ、埼玉県出身。O型。チームKII所属。3期生。山田町ふるさと大使(岩手県)、和光市応援団長。2009年SKE48 3期生オーディションに合格。2013年にはSKE48終身名誉研究生に就任。2015年にチームKIIに昇格。同年の総選挙では13位となり初めてAKB48シングルの選抜入りを果たす。2019年5月2日をもってSKE48を卒業。