──まずは6月10日に行なわれた「SKE48ゼロポジ公演」ではMVPを獲得されました。(※1)おめでとうございます。
江籠 ありがとうございます。ものすごくうれしかったです。「SKE48ゼロポジ公演」は、出演メンバーで5期生が一番先輩ということもあって、レッスン中から引っ張らないといけないという緊張感があったんです。そんな中で公演の2日前にMVPを決めますという発表があって。もちろんみんな一生懸命なのは知っているから、誰がMVPになっても祝福しようと思っていたんですけど、一方でここで負けたらダメだっていう思いも自分の中にあって。気持ちだけは絶対に負けちゃダメだって挑んだ公演でした。
──立ち上げ当初SKE48の指導にあたっていた振付師の牧野アンナ先生も審査員の一人として観に来ていました。
江籠 そうなんです。アンナ先生から評価されたのがすごく嬉しかったです。
──終演後、Twitterで「大好きなステージでの姿を認めてもらえたことが何より嬉しくて これまでやってきたことは間違いじゃなかったなって。どこにいても見てくれる人はいるって今日のライブで証明できました! 本当にありがとうございました!!」とツイートしていました。
江籠 あのステージにかける思いって、たぶん1日で作られたものではなかったと思うんです。今までの積み重ねというか。それが認めてもらえた瞬間、今までの活動は間違ってなかったんだって思えたし、アイドル活動で一番やり甲斐を感じられるのがステージに立っている瞬間なので、そこで一番をいただけたのはすごく嬉しかったですし、自信になりました。
──江籠さんは昨年の総選挙後のインタビューで落ち込んでいる部分もあって、今後はもう総選挙に出ない方向で考えていると話していました(選抜入り16位以内を目標に掲げていたが、結果は35位だった)。あれからどうやってモチベーションを保っていたんですか?
江籠 保っていなかったですよ。
──えっ!?
江籠 まったく保っていなかったです。落ち込んだ原因の全てが総選挙というわけではなくて、何をやっても上手くいかない1年だったんです。そんな中、大晦日のカウントダウン公演に初めて出たんですけど、日付が変わる瞬間までアイドルとしてステージに立っていたのは初めてで、そこで悲しいことはすべて2018年に置いて、2019年を迎えようって決めたんです。
──2019年に入って変化が?
江籠 今年に入って、いろいろな人と話すようになりましたね。
──誰と話をすることが多いですか?
江籠 (斉藤)真木子さんやちゅり(高柳明音)さん、おじゅり(松井珠理奈)と話すようになりました。話してみると、「あっ! そういう考えもあったんだ」とか、「あの時はこうすればよかったんだ」とか気づくことも多くて。最近は慕ってくれる後輩も増えたので、後輩と話すことで上手く自分の気持を切り替えたりできるようになりました。
──積極的に話そうと思ったきっかけはあるんですか?
江籠 元々、ちゅりさんには悩みを聞いてもらっていたんですけど、それが迷惑をかけているなっていう思いもあったんです。その時にちゅりさんから「味方になってくれる人は私以外にもたくさんいるよ」って言われて。じゃあ、いろんな人の話を聞いてみようかなって思ったんです。
──グループに入ってからメンバーに心を開くまで時間がかかったと。
江籠 そうですね。私の中で心を開ける人は1人いればいいって思っていたんです。それがちゅりさんだったんです。
──人と話すことで江籠さん自身大きく変われた?
江籠 そうですね。人の力はすごいと思います。私は元々ネガティブな性格なんですけど、それを言うと、真木子さんに「今まで真面目にやってきたんだから自信を持ったほうがいい」って言われて、それで自信を持てるようになった部分もあると思うんです。「SKE48ゼロポジ公演」の本番中、真木子さんが客席で泣いているのが見えたんです。終演後に「(MVPの)審査員が全員ボードに江籠ちゃんの名前を書いているのを見たときに泣いた」って教えていただいて。それはすごく嬉しかったですね。
──感動的なお話です。ちゃんと見てくれている人は見てくれていたわけですね。
江籠 私、アンナ先生に直接指導していただいたわけではないので、パフォーマンスを見ていただいて、お話をお聞きするという機会はこれまでなかったんです。今回、アンナ先生に審査していただけたのもすごく貴重な経験になったと思います。
──立ち上げ当初のSKE48を知る方ですもんね。
江籠 私は11歳でSKE48に入ったので、今の性格も考え方もSKE48が作ったものだと思うんです。
──後輩たちにも江籠さんの思いは伝わると思います。
江籠 私と(同期の古畑)奈和は言葉にするのが苦手だから、ステージの姿で、背中で示せたらと思って活動してきたんですが、アンナ先生から「2人が並んでいるのはヤバいね。最強だね」って言っていただけて。すごく嬉しかったし、自信になりました。
──そして今回、25枚目のシングル『FRUSTRATION』の選抜メンバーに選ばれました。今でも選抜発表は緊張しますか?
江籠 2回目の選抜以降はメールで教えていただくんですが、当たり前に入れるという自信はないですからやはり緊張しますね。
──同期の古畑さんの初センターについては。
江籠 悔しいという気持ちはなくて、素直に嬉しかったです。今までずっと隣で見てきて、後輩がセンターを任されて悔しがっている姿も見たし、インタビューで「センターに立ちたい。ファンの人と一緒にセンターを掴み取りたい」と話しているのを横で聞いてきたので。
──表題曲のMV撮影ではロサンゼルスに行ったそうですが。
江籠 めちゃくちゃ遠かったです(笑)。飛行機に乗っている時間が長くて、寝たり、映画を観たりしていたんですけど、移動だけでくたびれちゃいました。
──ロサンゼルスの自由時間は何をしていたんですか?
江籠 マネージャーさんとスーパーにいって、シャボン玉を買って、ホテルの駐車場で、ふくらませていました(笑)。あとは大きなショッピングカートを押したり。
──そのあたりは完全に子供ですね(笑)。肝心のMV撮影の方はいかがでした? 泡パーティーに興じるなんてシーンもありましたが。
江籠 最初はすごく楽しんでいたんですけど、そのシーンの撮影が思っていたよりも長かったんです。私の立ち位置の上に泡の製造マシーンがあったんですけど、1人だけずぶ濡れになって、最後は楽しむ余裕もなかったです(笑)。誰かにこの気持ちを分かってもらいたくて、日高優月を連れてきて、隣に立たせて濡らして遊んでいました。
──後輩との関係も変化してきているような気がします。
江籠 後輩たちがやっと「先輩」って言いやすい年齢になったのかもしれません。みんながお姉ちゃんみたいに懐いてくれているのが嬉しいですね。
──後輩にごちそうしたりも?
江籠 後輩と一緒にご飯を食べに行く時は出します。荒井優希の時は出さないけど(笑)。年上だから割り勘です!
──江籠さんがそんなに外に出るようになるとは意外です。
江籠 引きこもりだった私がアウトドアになったんです(笑)。真木子さんとかが連れ出してくれて、ご飯に行ったり、水族館に行ったりするうちに、後輩ともご飯に行くようになったんです。昔と比べて人と会う機会はすごく増えました。
──なんだか今がすごく充実していそうです。
江籠 楽しいです!
──これからやりたいことはありますか?
江籠 歌って踊っている時が一番幸せなのは今までと変わりません。秋からツアーが再開するので、それが楽しみですね。皆さん、ぜひツアーを観に来てください。絶対に楽しいですから!
※1 6月10日にZepp Nagoyaで開催された「SKE48 ゼロポジ公演2019」には中堅から若手の16人が出演。16通りのセンターをコンセプトに、メンバーが自ら選んだ楽曲をそれぞれセンターポジションで披露。MVPに『雨のピアニスト』をセンターで披露した江籠が選ばれた。
▽江籠裕奈(えご・ゆうな)
2000年3月29日生まれ、愛知県出身。SKE48チームKII所属。2011年5期生としてお披露目される。2013年に正規メンバーに昇格。2015年17thシングル『コケティッシュ渋滞中』でシングル表題曲選抜メンバーに初選出。

▽SKE48 25thシングル『FRUSTRATION』
7月24日(水)発売