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たとえば今年1月には、ゲームにアニメに大人気の『ウマ娘 プリティーダービー』が初の舞台化。公演は大盛況のうちに幕を下ろし、8月11日に発売されるBlu-rayは、一時予約が取れなくなるほど申し込みが殺到していた。
同舞台はオリジナルストーリーだが、メインキャラクターの役柄をゲーム版の声優が自ら演じたことで話題を呼んだ。普段舞台に親しみがないファンが興味を持てる仕掛けになっていたのが、成功の要因だろう。
同じく1月には、A-1 Picturesによる大ヒットアニメ『リコリス・リコイル』(TOKYO MX ほか)の舞台化も実現した。声優本人ではなく、女優の河内美里と本西彩希帆が主人公の2人に抜擢されたが、その原作再現度の高さからファンに受け入れられたようだ。連日満席となり、立ち見席が用意されるほどの盛況ぶりだった。
さらに8月には、昨年末に大きな話題を呼んだアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』(TOKYO MX ほか)が舞台化される予定だ。演出家は『リコリス・リコイル』と同じ山崎彬氏が務め、生歌唱・生演奏を織り交ぜたパフォーマンスになるらしく、今から期待が高まっている。
今までは2.5次元舞台といえば、主流はあくまで女性向けミュージカルだった印象だ。男性向けが存在しなかったわけではないが、その場合は舞台というよりも、女性声優が出演するライブイベントが多かった。
そこで新たに注目を浴びる『ウマ娘 プリティーダービー』『リコリス・リコイル』『ぼっち・ざ・ろっく!』の舞台化は、男性ファンを強く意識した2.5次元舞台として、これまでにないブームの到来を感じさせる。
男性向け2.5次元舞台のブームを準備したのは、おそらく2016年ごろより始まった『アサルトリリィ』の舞台化だろう。とくに2020年9月から全15回上演された舞台『アサルトリリィ The Fateful Gift』は、合計観劇者数15,000人突破という記録を残している。
さらに2017年には、“舞台少女”たちの物語がミュージカルとアニメで同時展開するメディアミックスプロジェクト『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』が始動。ミュージカルの展開はTVアニメより先に行われ、舞台初演から早々に再演が決定するほどの人気を見せた。
こうした作品が舞台に親しむ男性ファンを増やした結果、現在のブームの着火剤となったのかもしれない。
とはいえ近年の男性向け2.5次元舞台には、これまでの舞台化作品とは違った特徴があるように思われる。作品の下地からして、リアル(3次元)との親和性が高いのだ。
たとえばアニメ『リコリス・リコイル』の主人公・錦木千束を演じた安済知佳の演技は、いい意味で印象に残るものだった。いかにもアニメキャラ然としたデフォルメが効いた演技ではなく、等身大の女子高生らしいリアルな質感が特徴的だ。
同作にのめり込んだファンたちは、すでに2次元を超えた質感に魅了されていたと言える。そのため、役者が身体表現で作り上げた3次元の舞台も、違和感なく受け入れられたのではないだろうか。
なお舞台『ウマ娘』は『リコリス・リコイル』とは条件が違うものの、ゲーム版と同じ声優を起用し、その身体表現を挟むことで、原作の世界観となめらかに接続している。
2023年は、男性向け2.5次元舞台の正念場となるはず。まずは舞台版『ぼっち・ざ・ろっく!』の成功に期待しよう。
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