──「ビジネスパートナー」を名乗っているお2人ですが、現時点ではどんな関係ですか?
大場 「ビジネスパートナー」と言うと冷たい関係じゃないかって言われることがあるんですよ。
高柳 「ビジネス上の関係」と思われるんですけど、そうではなくて「ビジネスをよくする関係」なんです。グループのことやお互いの仕事のことを言い合えるメンバーってなかなかいないので。
大場 会えば、自然とそういう話になるよね。
高柳 2人でいると仕事の話しかしないよね。
大場 くだらない話から入っても、いつの間にかヒートアップして、グループの話をしているよね。
高柳 同じチームKIIっていうこともあるから、「この子はこうなるといいよね」とか。美奈はチームリーダーだから、私からお願いすることもあります。
──高柳さんの卒業発表は10月4日深夜のミッドナイト公演でした。「ビジネスパートナー」としてはどう思いましたか。
大場 メンバーの誰にも事前に言わなかったのは、ちゅりらしいなと思いました。誰かに言ってしまうと、言われなかったメンバーが「えっ、私は?」となってしまう。そういうことに気を配れる人ですから。その日に発表したことについては、私としては純粋にうれしかったです。自分がその場に立ち会えたのもそうだし、同期の(斉藤)真木子がいたこと、年齢も関係も近い(山内)鈴蘭がいたこともよかったなって。出演メンバーを見て、あの場を選んだんだろうなと思って、ほっこりしました。
高柳 その通り。ミッドナイト公演に誰が出るのかをまずスタッフさんに確認して、この子たちの前でなら発表していいなと思ったんです。谷真理佳やあかりん(須田亜香里)にもいてほしかったけど、それが叶わなかったのは残念でした。江籠(裕奈)さんは19歳だから、あの公演には出演できないので、それは心残りでしたけど。
──江籠さんは次の日に怒りを爆発させたと聞いていますけど(笑)。
高柳 会った瞬間、江籠さんは持っていたカバンをぶん投げました(笑)。
──メンバーの誰にも言っていなかったとしたら、いきなりの発表に驚きませんか。
大場 驚きとは違って、「あっ、ここかぁ……」という感じです。変に落ち着いていました。
高柳 「春くらいに卒業」ということはメンバーには隠していなかったので。それはファンの方も同じで、「夏くらいまではいてくれる?」と聞かれても、卒業時期を明言しないまでも、「無理無理!」と匂わせてはいました。
──公演終了後、舞台裏はどんな雰囲気でしたか。
高柳 真木子は「ううっ……」って、号泣はしていないけど、寂しさを隠せない感じでした。卒業発表を理解しようとしてくれていました。
大場 私は納得できていたので、「今度ゆっくりご飯行こう」って。
高柳 数日後、美奈がツイッターに上げてくれた文章で泣いたよ。
──予想外の反響などはありましたか。
高柳 私のファンの方じゃない方が、「寂しいです」とSNS上で声をかけてくださったのがうれしかったです。私の気持ちを尊重してくださるんだなと思いました。
──自分と関係が近いメンバーが卒業すると、当然自分の将来を考えざるを得ないと思いますが……。
高柳 上の期になればなるほど、卒業のことは常に考えていますから。私は、(松井)玲奈さんたちが卒業しても、自分はまだだなと思ってきたので、周りに影響されることはありませんでした。
大場 関係が近いメンバーが卒業したからといって、「じゃあ、自分も」という訳にはいかないものなんです。卒業してからこの世界で生きていくためにはそれなりの準備をしないといけないので。芸能界って先のことを計画していかないといけませんから。そういう意味で、ちゅりがその決断をしたことはすごいなって思うんです。
──卒業生と会って、「一人でやっていくのはどう?」とか聞くことはありますか。
高柳 あまり聞かないですね。玲奈さんと会っても、仕事の報告とか他愛のない話が中心で。ただ、見ていて感じるのは、卒業後って心にゆとりが持てるということです。SKE48時代の玲奈さんは目まぐるしいスケジュールで動いていましたから。
大場 先日、私は(AKB48の)9期生10周年公演があって、集まった同期にいろいろ聞きました。社会人になっての大変さを聞いたり、芸能界にいるメンバーに「どうなの?」って聞いたり。例えば卒業してからファンクラブを作るとしても、意外と大変だよっていう話を聞けば今は具体的に考えることもなく生活しているので、得るものもあるじゃないですか。単純にその子への興味もあれば、自分が卒業したときを想像して聞いている部分もあります。
──何事にも当てはまりますが、一般の人が転職して環境が変わることは、怖さもあると思います。
高柳 ないといったら嘘になりますけど、卒業生に決まって聞くのは、「卒業してよかった?」「いま楽しい?」ということです。すると、みんな口をそろえて、「楽しい」って答えるんです。在籍当時とは違う楽しさがあるという意味だと思うんですけど、みんな卒業したことに後悔はないんですよね。
大場 卒業したら時間的にもゆとりができると思うので、それぞれが楽しんでやっているのも分かります。ただ、卒業したメンバーからは、「まだいたほうがいいよ」と言われたこともありました。
──どうしてですかね。
大場 それは、48グループにいれば、すごい経験ができるからです。外に出てから力をつけるのもいいけど、グループにいたままで力をつけるのもありだよっていう意味ですね。昔からいるスタッフさんにも、「まだいてもいいんじゃない?」と言われることもあるんです。私としては、「まだいいんですか?」っていう思いもありますけど、それってグループの最前線にいてくれという訳ではなくて、一歩引いた状態でグループを助けられるなら、まだいてもいいのかなって解釈しています。
──他の取材で「やり残したことがある」と語っていましたけど、それはライブなんですね。
大場 はい。アイドルじゃなくなると、もうできないですから。やり尽くしたら、スッキリして卒業できると思います。
高柳 美奈には47都道府県ツアーを回りきってほしいな。私はそれができずに去っていくから(笑)。
──お2人の共通点は、卒業後も芸能界で活躍したいという意思を持っていることじゃないですか。
高柳・大場 そうです。
──そもそもAKB48はそういうものとして誕生しました。SKE48もその流れを汲んでいます。でも、時代の変化によってアイドルになることが目標になっていきました。そうなると、考え方のギャップを感じることがあるんじゃないかと思います。
高柳 感じます。
大場 すごく感じます。この間もちゅりとそんなことを話していました。
高柳 「ここがゴール」と思って入ってくる子が増えたと思います。
大場 以前は芸能界を目指している子たちが集まってくるイメージだったんですけどね。でも、それでもいいんです。着地点がSKE48であるのは構いません。全員が芸能界を目指せなんて言えないですから。ただ、好きで入った世界なら、フルパワーで駆け抜けてほしいです。そうじゃないと、このグループを作ってくださった先輩たちに申し訳ないじゃないですか。SKE48って、基本的な部分は変わっていないと思うんです。劇場公演が熱くて、一生懸命っていう。自分たちがやりやすいレベルにするのではなくて……。
高柳 正規メンバーが休演の時には研究生が代わりに公演に出てくれていますが、正規メンバーが研究生のレベルに合わせた公演をするのではなくて、研究生が正規メンバーのレベルに追いつく努力をしないといけないですよね。最近、メンバーにそんな話をしました。
大場 そうだったね。私たち2人が出ていない公演を観たとき、すごく優しい公演になっていたのが気になって。公演が終わってから、「みんなはこんなんじゃないよ。初日の自分たちはもっとできていたから」という話をしました。みんな優しいんですよ。後輩に寄り添える優しさがあるんです。
高柳 私たちは鍛え抜かれた時代だから(笑)。
大場 そう。だから、自分たちでレベルを上げるしかなかったんです。優しさも大事だから、昔のやり方を押しつけることはしないけど、そこはTPOですよね。
高柳 頭ごなしに怒ることはしないですね。私たちはたくさん怒られてきたけどそんなときに、「やってやるよ!」と思って頑張ってきたので。
──世代が違えば、考え方も違うでしょうし、反抗期のメンバーもいるでしょうからね。
大場 何度も話しているのは、「部活じゃないからね。自分たちが選んだ仕事だから」ということです。それは年齢に関係なく理解しないといけないことだと思います。
高柳 私が入ったとき、珠理奈さんは中学1年生だったのに、それができていましたから(笑)。
▽SKE48 26thシングル『ソーユートコあるよね?』
1月15日(水)発売