「ミスアサ芸シークレット2026」ファイナリストに選ばれたコスプレイヤーモデル・若葉希人(わかば・きと)。「余命1週間」と宣告され、難病「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」と「中毒性表皮壊死症(TEN)」を乗り越えた彼女の全身には、長く病気の痕が残っていた。
医師からは「きれいに治ることはない」と告げられたものの、彼女の肌は数年の時をかけて、ほとんど痕が分からないほどまで回復した。後編では、コスプレとの再会から、ミスコンへの出場をきっかけに見つけた「自分の経験を発信する」という使命、そしてグラビアで肌を見せることに込めた特別な思いについて語ってもらった。(前後編の後編)

【写真】コスプレイヤーモデル・若葉希人の撮り下ろしカット【6点】

――若葉さんは、中学生の頃から長くコスプレを続けてこられたんですよね。

若葉 はい。友達に誘われたのがきっかけで、かなり長く続けています。ただ、当時は受験や部活もありましたし、今のように毎月イベントが開催されている時代でもなかったので、たまに友達と集まって「お着替えごっこ」をするような感覚で楽しんでいました。

学生時代から親しんできたコスプレだったが、社会人になりたての頃は仕事に追われ、多忙な日々を送っていたこともあり、10年近く活動から離れていた。病気を発症したのも、ちょうどそのブランクの期間だったという。

――それでも、再び本格的にコスプレを始めようと思ったのは、なぜだったのでしょうか?

若葉 やっぱり肌がきれいになって、人前に出られるようになったことが大きかったですね。もう一度、好きだったキャラクターになりたいという気持ちが湧いてきて。私はもともと男装をメインにしていたので、褐色のキャラクターのメイクをすると、残っていた肌の痕も隠すことができたんです。それがきっかけで、またイベントに足を運ぶようになりました。


――「ミスアサ芸シークレット2026」にも参加されましたよね。これはどのような経緯で応募されたのでしょうか?

若葉 それが、よく分からないまま応募しちゃったんです(笑)。撮影会に入ったばかりだったので、運営の方に名前を覚えてもらえたらいいな、くらいの軽い気持ちでした。まさか書類選考に通るとは思っていなくて。

――そこから、意図せずファイナルまで進んでしまったと。

若葉 そうなんです。PR動画で「なぜ応募したのか」を話さなきゃいけなくなったんですけど、私には特に理由がなくて。どうしようと考えているうちに、ふと自分の病気の経験が浮かんだんです。私がこの病気になったとき、インターネットで検索しても、後遺症がきれいに治った人の例が全然見つからなくて、すごく絶望的な気持ちになりました。だから、「こんなにきれいに治った人もいるんだ」と知ってほしいと思って。そう話したら、大きな反響があったんです。

――それが、ご自身の経験を発信していく原点になったんですね。


若葉 理由もなく応募したことが、もう一度、自分自身と向き合うきっかけになりました。

――具体的には、どのようなお話をされたのでしょうか?

若葉 最終選考のスピーチではファンの方へのお礼を伝えるのではなく、「この病気は誰にでも起こり得るので、何かあったらすぐに病院へ行ってください。皆さんの健康を祈っています」と話しました。司会の方からは「優しさだけのスピーチでしたね」と言われました(笑)。ライバルになるはずの候補者の子が、私の病気について書いた記事を広めてくれたりもして。少しずつでも、こういう病気があることが伝わっていけばいいなと思っています。

――「誰にでも起こり得る」ということを、特に知ってほしいということですね。

若葉 はい。薬と本人の相性がたまたま合わないことで発症する病気なので、薬も、処方したお医者さんも悪いわけではないんです。市販の風邪薬や頭痛薬でも起こる可能性があります。だから、「自分には関係ない」と思わないでほしいんです。薬を飲んで少しでも異変を感じたら、すぐに病院へ行ってほしい。
本人が病気のことを知らなくても、記事を読んだ家族や友人が「ちょっと様子がおかしいよ、病院に行こう」と声をかけてくれるだけで、結果が変わることもあると思うんです。

――その思いは、現在のグラビア活動にもつながっているのでしょうか。肌を見せることに、特別な思いはありますか?

若葉 あります。私の症状が一番ひどかったのが、お腹と背中だったんです。普段は服で隠せる場所ですが、グラビアでは一番見せる部分ですよね。そこを堂々と出せるようになったことが、本当に嬉しいんです。病気の痕が一番ひどかった場所を見せられるようになったからこそ、グラビアをやりたいと思いました。

――当時のご自身の写真は残っているんですか?

若葉 病院に症例写真として残っているものはあるんですが、自分の手元には1枚もありません。当時はまだ今ほどSNSが活発ではなかったですし、あの状態を写真に残すのはあまりにも残酷で。家族も、見ると泣いてしまうから「撮って」とは言えなかったですね。そもそも、まさか自分が治るとは思っていなかったので。でも、同じ病気を経験した人なら、今の私の肌を見れば、どれだけひどい状態からここまで回復したのかが伝わると思うんです。


――ただ肌を見せるのではなく、そこにもメッセージが込められているんですね。

若葉 はい。私がやりたいのは、エロさだけを追求するグラビアではなくて、アーティスティックなグラビアなんです。肌は出したい。でも、胸やお尻だけを撮られるのは違うと思っています。もちろん、私より肌がきれいなモデルさんはたくさんいます。でも、私は「全身の皮膚が壊死した状態から、ここまで回復した」というところがスタート地点として違うんです。

そのストーリーを知っている患者さんが私の写真を見たときに、「え、何この肌!?」って驚いてほしい。一般の方には「普通じゃん」と思われてもいいんです。同じ病気で苦しんでいる人に、「こんな未来もあるんだ」と思ってもらえるような、希望の光になれる作品を作っていきたいです。

最近も、病名で検索をかけ入院中や退院後皮膚治療に苦しんでいるという患者さん数名から「毎日泣いてますが、若葉さんのグラビアを見て希望になりました」といったDMがありました。とても嬉しかったです。
そして、私がやりたかったことはこれだ!と確信したんです。自分のコンプレックス(皮膚状態)を隠すコスプレだけでなく、グラビアで肌を出すことに意味がある。やってよかったと思いました。

――最後に、今後の目標を教えてください。

若葉 これからもコスプレやグラビアを通して、アートとしての表現を続けていきたいです。そして、この病気について、もっと多くの人に知ってもらうための発信も続けたい。
それが、いつか誰かの命を救うことにつながるかもしれないので。

インタビュー中、彼女は「常に絶望の中で生きています」「オタクだから、次のアニメが見たいとか、そういう楽しみで生きているだけ」と笑いながら話していた。絶望を知っている彼女だからこそ語れる希望のメッセージは、強く、そして温かい。

▼若葉希人(わかば・きと)
中学生の頃、母の手作り衣装でコスプレを始める。24歳のときにスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死症(TEN)を発症し「余命1週間」を宣告されるも、奇跡的な回復を遂げた。現在はコスプレのほか、ポートレートやグラビアのモデルとしても活動し、「ミスアサ芸シークレット2026」ファイナリストに選出。
「同じ病気で苦しむ人の希望の症例になりたい」と、自身の経験の発信を続けている。

【前編】「どうせ死ぬしな」24歳で“余命1週間”を宣告されたコスプレイヤーモデル・若葉希人、全身の皮膚が壊死する難病との闘い
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