雑誌やweb媒体でアイドルの記事を数多く執筆するライターの左藤豊氏が、1週間アイドルたちが出演するレギュラー番組や冠番組をチェック。その週、テレビで輝いていたアイドルたちについて思い入れたっぷりに語ります。
第97回となる今回の観測期間は12月21日(月)~12月27日(日)。

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今年最後の更新となる当コラム。この1年を振り返ると、やはりテレビ界における日向坂46の躍進が大きかったなと思います。バラエティ力の高さは昨年の時点ですでに評価されていた部分ではありましたが、コロナ禍によってコンサートや特典会が困難になりアイドル業界全体が苦境に立たされた中、地上波で冠番組を持ちかつ芸人ばりに笑いに貪欲な姿勢を見せた日向坂46は結果的にテレビの中のアイドルとして際立った存在感を示しました。

ステイホーム期間以後テレビ番組のゲストとして日向坂46メンバーを多く目にするようになったのも、その証左と言えるのではないでしょうか。

そして、日向坂46人気の着火点となった冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)の今年最後のオンエアを締めくくったのは、3週ぶち抜き企画「アンガ田中をメチャクチャにしましょう」完結編。企画タイトルの時点でもうアイドル番組から逸脱しているんだけど、本当に常軌を逸していたのは3週目=12月27日(日)放送回の内容。

日向坂46メンバーはスタジオ前室でアンガールズ・田中の隣に座り弁当を食べるなど果敢にドッキリに挑戦。ただそれよりも鮮烈だったのは、ロシアン寿司が置かれたテーブルにしがみつく男性スタッフ、寿司を持ったまま田中に追い掛け回される女性スタッフ、垂れる鼻水もそのままに「カメラを止めるな!」と絶叫する田中、そんな彼をなだめようと試みる偉い人(長尾真プロデューサー)など、カオスの中で必死に奮闘するテレビマンたちの姿でした。……ってコレもうアイドル番組じゃないでしょ!

とはいえ、裏方である『日向坂で会いましょう』のスタッフたちがここまで本気で体を張って番組を制作しているという一種の「ドキュメンタリー」を見せられて、筆者は感動すら覚えました。

ネタバラシ後に田中が語った「(日向坂46は)積極的な人たちの集まり」という言葉がまさに言い表していると思うんですが、前身番組『ひらがな推し』も含め約2年半に渡ってメンバーたちが本気で積極的にバラエティに取り組みどんなムチャ振りにも応えてきたがゆえ、きっと制作スタッフ陣もメンバーを信頼してここまで愛や情熱を注ぐことができるんだろうな、と(だいたいオンエアの数日前に放送されたヨソの番組の日向坂46ネタをテロップでブチ込む技とか、常人の熱量じゃありえないでしょう?)。

この放送回ではメンバーの見せ場こそ多くはなかったものの、それが逆に日向坂46の普段の前向きな姿勢を証明しているような気がした2020年最後の『日向坂で会いましょう』でした。


話は変わって、グループとしてテレビ界で今年躍進したのが日向坂46なら、個人で躍進したアイドルはNMB48渋谷凪咲ではないでしょうか。今や地元・関西だけでなく全国ネットの番組にも引く手あまたの状況となっています。

そんな彼女が普段の地上波バラエティとはちょっと違う顔を見せたのが、12月26日(土)~27日(日)に生配信されたNMB48の番組『YNN弐十四結界』(新YNN NMB48 CHANNEL)。お笑い芸人も一目置く大喜利力を持つ渋谷があえてMC側に回り、NMB48メンバーに大喜利特訓を行なった企画「ナギミョウジ」は壮絶な1時間でした。

何せ渋谷は、フリップにまだ回答が書けていないメンバーを指名して無理やり答えさせたり、回答前に「この子オモロイこと言うよ~」とあえてハードルを上げたり、かと思えば回答者にしゃべる間を与えないほど語り出したり。まだ加入して数カ月の7期生にも容赦はなく、企画終了後はメンバー皆ぐったり放心状態。いつもはグループを代表する1人としてグループを引っ張る渋谷ですが、この日は大きな壁となってメンバーの前に立ちはだかったわけです。この壁を乗り越えるのは至難の業……NMB48に新たな課題が生まれた瞬間だったように感じました。

さて2020年も暮れを迎え、当コラムでも幾度となく取り上げてきた『22/7計算中 シーズン2』(TOKYO MXほか)が12月26日(土)で最終回を迎えました。22/7メンバーはアニメキャラの声優となり、モーションキャプチャ技術によってリアルタイムでバラエティをやるという前代未聞のアイドル番組だったので、終わってしまうのは非常に惜しい……。

と思ったら、来年1月からは22/7のリアルメンバーが声優ではなく実写の姿でアイドルバラエティを繰り広げる新番組『22/7検算中』がスタートするとのこと! 最近は女優として舞台に進出するメンバーも現れるなど声優だけに留まらない活動を行なう22/7だけに、これは朗報。実写バラエティで誰がどんな才能や魅力を覚醒させるのでしょうか? 何せ前述の『日向坂で会いましょう』を手掛けるケイマックスがこちらの番組も制作するので、期待しないわけにはいかないでしょう。
2021年もアイドル番組から目が離せません!

▽今週の「アイドル番組 極私的テレビ欄」
[12月28日(月)~1月3日(日)]
ライター左藤氏が個人的にチェックしようと思っている今週O.A.の番組を簡単な内容とともにご紹介。

◆12月28日(月)
『Storytellers: Hinatazaka46』
CS MTV Japan/19:30~/出演:日向坂46
『アザトカワイイ』『約束の卵 2020』を含む全10曲をフルサイズでパフォーマンス

◆12月29日(火)
『ラストアイドル3周年記念コンサート~やっぱりラスアイしか勝たん!公演~〈生中継〉』
CS テレ朝チャンネル1/18:55~/出演:ラストアイドル
ラストアイドルの年内最後のビッグイベントをTOKYO DOME CITY HALLより生中継

◆1月1日(金・祝)
『22/7計算中 お正月スペシャル!!』
TOKYO MX/21:00~/出演:22/7
「22/7新春紅白歌合戦」を開催。メンバーが紅組・白組に分かれて3曲ずつ披露

◆1月2日(土)
『日向坂46です。ちょっといいですか?』
ひかりTVチャンネル/毎週土曜22:30~/出演:日向坂46
「2021年最強の運勢を手に入れちゃおうSP」完結編。手相でメンバーの運勢も診断
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