テスラのイーロン・マスク氏が経営するロケット会社・スペースXが、6月にナスダック市場へIPO(新規株式公開)を予定している。

日本からもIPO株に申し込みできるスペースXだが、どのような会社なのだろうか。
本記事ではスペースXの事業内容や成長戦略について解説する。
○スペースXがIPO計画を発表

米国の大手電気自動車メーカー・テスラのCEOを務めるイーロン・マスク氏が創業し、自身がCEOを務めるスペースXのIPO計画が明らかになった。6月にナスダック市場へ上場予定だ。

イーロン・マスク氏はテスラのCEOとして知られているが、ロケット会社のスペースXのCEOとしての活躍も有名である。イーロン・マスク氏が経営するロケット会社が、満を持してIPOすることになる。
○スペースXってどんな会社?

米国での宇宙開発と言えばNASAが有名だが、現在の米国ではロケット開発は民間企業に任せる形となっており、スペースXは政府との契約によりロケットを開発している。同社主力ロケットのファルコン9は再利用可能な低コストロケットで、2025年には年150回以上の打ち上げが行われた。スペースXのロケット打ち上げ回数は民間企業ながら世界屈指である。

また自社ロケットで通信衛星を打ち上げて、日本でも耳にする機会が多くなった通信サービス・スターリンクを提供している。スターリンクは通信衛星を利用した世界中で利用できる携帯電話サービスだ。どこでもつながる携帯電話サービスとして、日本でも大手通信会社経由などでサービスを利用できる。

以上のように、スペースXの特徴を簡単に言えば、テスラのイーロン・マスク氏が経営するロケット開発とスターリンクの会社である。
なお、ロケット会社のイメージが強いものの、収益面ではスターリンクが中心の会社だ。

○宇宙事業は夢があるものの事業資金は政府に頼らざるを得ない

スペースXは宇宙銘柄としてIPOする。国内にも宇宙ベンチャーが複数IPO済みだ。スペースXは既に規模が非常に大きくベンチャーではないが、宇宙銘柄としての位置付けには変わりない。

宇宙銘柄の特徴は事業化まで莫大な資金が必要となる点と、事業資金は政府の資金に頼る部分が大きい点である。かつては政府が行っていた宇宙開発の一端を、民間企業が政府の資金を受けて取り組むという流れであり、やむを得ない面がある。

宇宙ビジネスは夢があるものの、お金という面では政府の資金に頼る部分が大きく、規模の拡大には限界がある。ただし夢の面があるため、株式市場では高く評価される傾向がある。数字が伴わないのに株式市場で評価されるという観点では、バイオ銘柄に類似した側面がある。
○スペースXはAIでの成長を計画

スペースXがナスダック市場に提出した将来計画の資料を見ると、将来的な成長はAI事業で行うとされている。既にスペースXではAI事業も手がけており、今後AI事業が急成長する可能性は否定できない。しかし現段階で、スペースXのAI事業は評価できる段階にはない。


AIでの成長は宇宙ビジネスの限界を逃れる方法とも考えられるが、スペースXが成長を託すAI事業は、スターリンクが事業化している宇宙事業以上に評価が難しいと言わざるを得ない。今後OpenAIやAnthropicのIPOも予想されるが、スペースXはAI銘柄という観点ではAI銘柄IPOのトップランナーと見ることもできる。

AIでの成長部分は最終的に、イーロン・マスク氏に将来を託せるかどうかという部分になってくる。
○日本からもスペースXのIPOに参加できるが同社の状況把握は欠かせない

スペースXのIPOにはSBI証券・楽天証券・みずほ証券が関与しており、国内の証券会社経由でIPO株に投資できる。海外のIPO銘柄が日本の個人投資家に門戸を開放するのは非常に珍しい。

ただしスペースXのIPOは非常に大きな規模であり、IPO株を売りさばくために日本まで手を広げる必要があったという見方もできる。

大型株の上昇により国内IPO市場は冬の時代を迎えている。しかし、テスラのイーロン・マスク氏が経営するスペースXなら……という期待感は当然あるだろう。

「テスラの夢よもう一度」という気持ちになる投資家も多いと思われるが、スペースX株への投資はバイオ銘柄への投資に似ている側面がある。NVIDIAの時価総額約750兆円超には及ばないものの、スペースXは250兆円を超える想定時価総額と報じられている。

日本からも参加できる大型IPO銘柄だけに、夢だけではなく現実の姿も踏まえた上で投資判断を行う必要があるのではないだろうか。

石井僚一 いしいりょういち 金融・投資ライター。
大手証券グループ投資会社の勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式市場や為替市場に関連する記事の執筆を得意としている。資産運用記事やインタビュー記事も執筆中。第一種証券外務員資格保有。 この著者の記事一覧はこちら
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