本年秋に開催される萩原朔太郎の大回顧展「萩原朔太郎大全 2022」の記念映画として製作された『天上の花』の公開に先立ち、メインビジュアルと特報が解禁された。

詩人の直筆を起用!

入山法子ら主演映画『天上の花』、メインビジュアル&特報解禁!...の画像はこちら >>

メインビジュアルには、詩人・三好達治が「山なみとほに」という詩で天上の花として詠った辛夷の花を大きく扱い、達治が生前書いた直筆を今作のタイトルロゴとして起用している。

また、メインビジュアルと特報公開に伴い、主演の東出と入山、そして片嶋一貴監督によるコメントも発表。

東出昌大 コメント

愛ゆえに男が女を殴る。そんな理屈は詭弁だと思っていた。しかし悪魔的な、本人にとっては純真無垢な愛に翻弄された時、人は変わってしまうのかも知れない深淵を覗き込む物語です。是非ご覧下さい。

入山法子 コメント

愛したり憎んだり許したり許せなかったり言葉にならない曖昧な人間の思いを、いつも、映画は受け入れてくれた。私は、いつか、こんな世界に飛び込みたかった。私を慶子にしてくれて、ありがとうございます。

片嶋一貴監督 コメント

戦争は人を狂わせる。第二次世界大戦時、泥沼の戦争状態に突入した日本。時代をおおう閉塞感と不安と焦燥の中、主人公の詩人は戦意高揚詩で名を上げる。男は一人の美しい女を愛し、やがて激情のままに女に手を挙げ、泣きながら暴力を振るうようになる。その振り上げられた拳と悲しみの涙は、誰のものでもない。それは、今を生きるボクら自身の抑制のきかない衝動そのものだ。

時代を超えて、誰もが加害者にも被害者にもなりえる。

詩に心魂を捧げ、女を愛し、日本という国家と自我を同化させて生き抜いて来た男は、戦後すべてを喪失する。女との離別。そして、残酷なまでの価値の崩壊。あらゆるものは、絶えず移り変わって行く。そんなままならない世の中に、ボクらは何を考え悩み、情熱をかけて、いったい何を守り、得体の知れない不条理と闘って行かなければならないのか?不穏な空気が蔓延する世界に、そんなことを考えるきっかけの映画になればと心から願っている。

ストーリー

僕は、あなたを十六年四ヶ月、思い続けてきた…

萩原朔太郎を師と仰ぐ三好達治は、朔太郎の美貌の末妹・慶子と結ばれることを望むが、貧乏書生と侮られ拒絶される。

しかし十数年後、慶子が夫と死別すると、三好は妻子と離縁して慶子と結婚。

時は太平洋戦争の真っ只中、身を隠すように越前三国にひっそりと新居を構えた二人には、雪深い冬の過酷な生活が待ち受けていた。

三好は純粋な文学的志向と潔癖な人生観の持ち主であり、奔放な慶子に対しする一途な愛と憎しみが、いつしか激情とともに制御できなくなってゆく…。

「天上の花」とは、仏教用語で 曼珠沙華、彼岸花の別名。燃えるような赤い花は情熱の象徴である一方、有毒性をもつ。これを食した後は「彼岸」つまり「死」しかないという説もある。

2022年冬の公開まで、ぜひお楽しみに!

Information

『天上の花』
《原作》萩原葉子「天上の花―三好達治抄―」
《脚本》五藤さや香 荒井晴彦 監督:片嶋一貴 プロデューサー:寺脇研 小林三四郎
《出演》東出昌大 入山法子 浦沢直樹 萩原朔美 林家たこ蔵 鎌滝恵利 関谷奈津美 鳥居功太郎
間根山雄太 川連廣明 ぎぃ子 有森也実 吹越満
《製作》「天上の花」製作運動体 製作プロダクション:ドッグシュガー 配給宣伝:太秦
文化庁「ARTS for the future !」補助対象事業 映倫:PG12-123119