2023明治安田生命J2リーグは、プレーオフも含め全日程が終了。優勝した町田ゼルビア、2位のジュビロ磐田に続き、プレーオフで優勝を果たした東京ヴェルディ(リーグ3位)がJ1への昇格を決めた。

そんな東京Vにプレーオフ決勝で引き分けた清水エスパルスは、クラブ史上初となる2年連続J2リーグを戦うことが決定。

今2023シーズン開幕前、昨季の主力選手大半がチームに残留した清水。J2において圧倒的な戦力を誇り、優勝候補の筆頭と目されていた。しかし、開幕から7戦未勝利と躓き監督交代にまで至っている。その後、秋葉忠宏監督のもとでチームを立て直し、リーグ最終節直前までは2位に付け自動昇格圏にいた。それだけに、最終節でもプレーオフ決勝でも勝ちきれず、掴みかけたJ1復帰を2度も逃したことでファンやサポーターの来季に懸ける意気込みは早くも最高潮と言えよう。

しかし、そんな新しいシーズンに向けて大きな懸念が残っている。前評判はもちろん、J2でも屈指の攻撃力と守備力を見せたことで、当然他クラブから熱視線を送られる選手は多いはず。もちろん、再度昇格に挑む清水にとっても既存の戦力は可能な限り失いたくないだろう。ここでは特に来季に向け、流出を阻止すべき選手たちを5名ランキング形式で紹介していく。

清水エスパルスが来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

5位:ホナウド

2021シーズンにチームに加入したMFホナウド。今季は39試合に出場しチームのかじ取りを担ってきた。自陣でのパスミスやボールロストも目立つ一方、タイトな守備でのボール奪取や豊富な運動量で終盤も敵陣まで持ち上がる姿を見せるなど、試合によってあるいは時間帯によって評価が分かれる選手である。

しかし、出場した試合数が物語るように指揮官からの信頼は厚く、出場時間を見てもフィールドプレーヤーではキャプテンDF鈴木義宜に次ぐ2番目の長さとなっている。

チーム内でも替えの利かない存在であるホナウド。時折見られる、フィールドに複数居るかと錯覚させるハイレベルなパフォーマンス時間が増えれば、もはや相手にとって手に負えない選手であることは間違いない。同じく守備での貢献度が高いGK権田修一や鈴木らも重要な選手に違いないが、進化に期待も込めて手放せない選手5位とした。

清水エスパルスが来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

4位:チアゴ・サンタナ

言わずと知れた昨2022シーズンのJ1得点王FWチアゴ・サンタナ。今季も12ゴールを挙げ、清水に加入してからは3年連続となる2桁ゴールをマークしている紛うことなき稼ぎ頭だ。昨季と変わらず前線での起点としての働きはもちろん、左足の強烈なミドルシュートやヘディングでゴールを重ねてきた。

清水の同ポジションで言えば下部組織育ちで元日本代表のFW北川航也や世代別韓国代表経験もあるFWオ・セフンなど、他クラブへ期限付き移籍中の選手も含め世代を問わずタレントは揃っている。しかし、両者ともに要所での得点など活躍を見せたものの、サンタナからポジションを奪取することはできず、事実上1強の状態が長く続いている。今季もゴールを量産した決定力と前線での迫力に加え、チーム内でサンタナの地位を脅かす選手が乏しいという意味でも手放せない選手4位とした。

清水エスパルスが来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

3位:山原怜音

大卒2年目の今季は、DF山原怜音にとって苦難のシーズンだったと言えよう。昨季はルーキーイヤーながらもJ1で躍動し、今季はJ2でより無双ぶりを期待された山原。しかし、チームが開幕からの未勝利に苦しむなか第6節で負傷交代。以降リーグ戦復帰までは約4ヵ月を要した。

それでも復帰後は持ち前の精度の高いクロスやラストパス、セットプレーキッカーとしての役割を全う。終盤には強引なまでの縦への推進力も見られ、改めて能力の高さを見せつけていた。

守備面を見れば、今季より清水に復帰したDF吉田豊と比較するとやや後れを取る部分もある。しかし、攻撃面では若手ながら国内屈指の選手であることは間違いない。GK権田やMF乾貴士などチームの中核にベテランが多い清水。だからこそ、24歳の山原はクラブにとって次世代を牽引する重要な存在と言える。

負傷の影響で出場機会が少なくなりつつも、復帰後見せた質の高いキックや推進力。そして、なによりもクラブの将来を担える人材の1人として手放せない選手3位とした。

清水エスパルスが来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

2位:カルリーニョス・ジュニオ

2位には今季チームトップスコアラーのFWカルリーニョス・ジュニオを挙げたい。加入4シーズン目となった背番号「10」は、主に左サイドでその攻撃力の高さを発揮。前への推進力や15のゴールで、チームの主力としての役割を果たしてきた。また、今季特に頼もしさを見せたのが守備への意識とその強度。

献身的な守備で度々相手攻撃の芽を摘み、パスカットから決定機も作っていた。

その高い走力と攻撃性に加え守備でも魅せた今季の活躍を見れば、国内複数のクラブが興味を示していても不思議はない。とはいえ、清水においても重要な得点源である。攻守に渡る総合的な能力の高さと、クラブにとっても特別な背番号「10」の継承者であることから、手放せない選手2位とした。

清水エスパルスが来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

1位:乾貴士

開幕から躓いてしまった清水にとって、復調の要因となったのがMF乾貴士だ。秋葉監督体制に代わってからというもの、卓越した足元の技術と変幻自在のポジショニングで相手守備陣を翻弄。10ゴール10アシストと数字においても文句なしの結果を残している。チャンスメイクに限らず、自陣からの持ち上がりでも存在感を発揮。今の清水にとってまさに生命線と呼べる選手であることは間違いない。

もちろん、負担軽減のために代役を務められる選手の補強は乾の去就に関わらず急務だろう。しかし、仮に納得のいく補強が叶ったとしても今季の乾と同等の結果を残せる選手はそういない。1人でゲームをコントロールできるJリーグ屈指の選手であることと、チームにもたらした影響力の大きさから手放せない選手1位とした。