2023明治安田生命Jリーグも全日程が終了。この時期、各クラブのファンやサポーターにとって一番の関心ごとと言えば選手たちの移籍についてだろう。

当然、主力選手のライバルクラブへの移籍は、来シーズンのクラブ同士あるいはチーム内の勢力図にも大きな影響があるため注目される。しかし、移籍はなにも国内に限った話ではない。昨今は毎年のように夏冬の移籍で海外挑戦を果たす選手が複数出る。見守ってきたファンやサポーターにとって、身近な選手が海外からも認められ嬉しい反面、戦力的な意味でもチームを離れてしまうことに寂しさや不安を感じる複雑な心境となることは想像に難くない。

今冬もすでに、今季J1昇格組のアルビレックス新潟を支えたパリ世代のアタッカーMF三戸舜介やJ2のジュビロ磐田で18歳ながら圧巻の存在感を見せつけたルーキーFW後藤啓介が海外移籍を決めた(後藤は期限付き移籍)。ほかにも、名古屋グランパスで守備の一角を担ったDF藤井陽也やパリ世代のストライカーFW細谷真大(柏レイソル)らを筆頭に続々と海外行きの噂が出ており、移籍の話題はここからさらに熱を帯びそうだ。

ここでは、今季のJ1リーグで大きな活躍を見せ、今冬にも海外移籍があり得る選手たちを5名紹介していく。

三戸舜介、後藤啓介の次は?今冬にも海外移籍しそうな選手5選

満田誠(サンフレッチェ広島

大卒2年目となるシーズンを終えたサンフレッチェ広島のFW満田誠。ルーキーイヤーの昨2022シーズンは29試合に出場し9ゴール8アシストと躍動。日本代表デビューも飾り一気に名を上げた。今季も変わらず開幕から主力として序盤の連勝に貢献したが、第12節のアビスパ福岡戦で負傷交代。以降復帰するまでチームの調子が下降したことからも、いかに満田の存在が大きなものかがうかがえる。第23節の浦和レッズ戦で復帰してからは、3ゴール3アシストの活躍でチームの3位フィニッシュに貢献している。

まだ24歳とここから先さらなる成長の可能性を秘めており、広島としては今後ますます中心選手としての期待が高まっていくに違いない。しかし、裏を返せば海外クラブが見逃さない選手の1人とも言える。再び代表での活躍も期待できる選手なだけに、このタイミングでの海外行きがあるのか注目だ。

三戸舜介、後藤啓介の次は?今冬にも海外移籍しそうな選手5選

伊藤敦樹(浦和レッズ)

浦和レッズへ正式加入した2021年から、常に主力の一角を担ってきたMF伊藤敦樹。今季は6月に行われたキリンチャレンジカップ2023で日本代表にも初選出され、エルサルバドル戦(6-0)でデビューを飾り代表定着の足掛かりを作るなど充実の1年だったと言えよう。

ボール奪取力に秀で、185cmの長身を誇る国内屈指の大型ボランチであることに加え、サイドに出ての正確なクロスや中央での強烈なミドルシュートなど攻守に渡って豊富な武器を兼ね備えている。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)や代表活動、クラブワールドカップと国際舞台での露出も多いシーズンだっただけに、今冬どこからも声がかからないことは考えにくい。

浦和にとっては文字通りチームの中心になくてはならない選手だが、そう遠くない未来に海外挑戦を報じられる可能性は高いと言えよう。

三戸舜介、後藤啓介の次は?今冬にも海外移籍しそうな選手5選

佐野海舟鹿島アントラーズ

町田ゼルビアから今2023シーズンより鹿島アントラーズへ加入したMF佐野海舟。J1初挑戦ながら27試合と多くの出場機会を得て、日本代表デビューも果たすまさしく自身にとって飛躍のシーズンになったと言えよう。的確なポジショニングを武器にボール奪取やセカンドボールの回収で存在感を示し、加えてボールを持てば簡単には倒れないドリブルで推進力も見せた。

鹿島は今冬、長く中盤の底を支えてきたMFディエゴ・ピトゥカがチームを離れることをすでに発表している。来季改めてタイトル争いに加わるためにも、佐野に懸かる期待は一層高まるに違いない。しかし、代表デビューを飾ったこともあり海外クラブの目に留まっていたとしても不思議ではない。

今年8月、一足先に海外挑戦を果たした弟MF佐野航大(NECナイメヘン)と同様、Jリーグから巣立つタイミングとなるのか。急成長を遂げたボランチの去就から目が離せない。

三戸舜介、後藤啓介の次は?今冬にも海外移籍しそうな選手5選

松木玖生(FC東京

世代別代表活動の影響もあり、今季は22試合の出場となったMF松木玖生。しかし、多くの試合に絡んだルーキーイヤーの昨年に続き、チームで大きな存在感を見せた。フィジカルの強さは20歳にしてすでに国内屈指。加えてキック精度や果敢に攻撃へ関わる積極性、パンチ力のあるミドルシュートなど数多くの武器を併せ持っている。

国内での活躍は申し分ないが、パリ五輪を目指すU-23代表においてポジションを争うライバルたちは今夏海外移籍を果たしている。

同じく五輪やA代表を狙う松木としても、欧州で経験を積む必要性が増していると言えよう。実際、夏にも海外行きの噂が出ていた松木。パリ五輪までの期間があとわずかと迫っており移籍後に出場機会を失えば選手選考から漏れる可能性もある。海外行きの可能性は高いが、あとはタイミングと行き先次第といったところだろうか。

三戸舜介、後藤啓介の次は?今冬にも海外移籍しそうな選手5選

半田陸(ガンバ大阪

今2023シーズン、モンテディオ山形からガンバ大阪へ個人昇格を果たしたDF半田陸。自身初となるJ1の舞台だったが、それを微塵も感じさせない活躍ぶりで改めて評価を高めたシーズンだったと言えよう。

7月に負傷した影響もあり、残念ながら出場は23試合にとどまったが、出場時はボールを奪い切る対人の守備力やチャンスメイクなど好プレーを連発していた。

U-22の活動でも、11月に行われたU-22アルゼンチン戦(5-2)で3つのアシストをマークして存在感を発揮。海外から声がかかるだけの見せ場は十分に作っていた。夏にも一部で、近年日本人選手が多く活躍するスコットランドリーグ所属クラブからのオファーが報じられた半田。G大阪へ来て間もないが、早くも次のステップアップとなるのか。注目される選手の1人であることは間違いない。