2024年7月26日から8月11日に開催されるパリ五輪。サッカーU-23日本代表は、本大会出場を懸け4月からアジア予選に入る。

見事予選を突破し、大会に出場できるか否かが注視されるのは当然だが、限られた選手枠に対してのメンバー選考もまた注目ポイントと言えよう。

ここでは、ポジション別の主な候補選手について紹介していく。

パリ五輪メンバー、注目の各ポジション候補選手と勢力図

GK(ゴールキーパー)

  • 小畑裕馬(ベガルタ仙台
  • 佐々木雅士(柏レイソル
  • 藤田和輝(ジェフユナイテッド市原・千葉)
  • 野澤大志ブランドン(FC東京
  • 小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル)
  • 鈴木彩艶(シント=トロイデンVV/ベルギー)

守護神の筆頭候補は間違いなく鈴木彩艶だろう。昨年10月以降はA代表にも連続して招集され、1月に開催されたアジアカップでは5試合すべてでスタメン出場を果たした。アジアカップでのパフォーマンを不安視する声もあったが、同世代の中で高い評価を受けているのは明らかだ。

そんな鈴木の定位置を脅かす存在として、昨年はFC東京で中盤以降に定位置を掴んだ野澤大志ブランドンや第19回アジア競技大会で守護神を務めた藤田和輝、加えて鈴木と同様海外で活躍する小久保玲央ブライアンの名が挙がる。次いで、昨年は自チームで出場機会の限られた小畑裕馬や佐々木雅士といった選手たちも、開幕を迎えたJリーグでの活躍次第で逆転の目はゼロではない。

前回の東京五輪では、大会直前まで大迫敬介(サンフレッチェ広島)と谷晃生(現・町田ゼルビア)で争われた守護神の座。鈴木がリードしているのは確かだが、実力者が揃うだけにまだまだ序列争いは続きそうだ。

パリ五輪メンバー、注目の各ポジション候補選手と勢力図

DF(ディフェンダー)

最終ライン、特にセンターバックは西尾隆矢と木村誠二の2人が手堅い存在。昨2023シーズン、所属チームでは出場機会が限られていた両選手だが、この世代の活動においては中核的存在だ。昨年はU-22の活動でも、この2選手あるいはどちらか一方と鈴木海音という布陣が多く見られただけに、この3選手が中心となることは間違いないだろう。

とはいえ、彼らからポジション奪取を狙う選手で言えば、チェイス・アンリに高井幸大と将来を嘱望される選手が挙がる。メインは西尾、木村、鈴木の3選手だろうが、その他の候補、特に10代選手の伸びしろは注目必至だ。

サイドバックはやや混戦模様。A代表への招集も経験しているバングーナガンデ佳史扶と半田陸は当確との見方もできるが、海外で活躍する内野貴史や昨年夏に個人昇格を果たした加藤聖、また今冬の移籍動向でチーム内の序列変化により出場機会が増えそうな大畑歩夢と、虎視眈々とその地位を脅かす選手は数多くいる。バングーナガンデ、半田ともに昨年は怪我に苦しみながらも11月に行われたアルゼンチン戦には揃ってスタメン出場し健在ぶりをアピールした。だが、不在の間は他の選手たちも存在感を見せただけに、逃げ切りを図れるかが注目される。

パリ五輪メンバー、注目の各ポジション候補選手と勢力図

MF(ミッドフィルダー)

  • 西川潤(いわきFC)
  • 田中聡(湘南ベルマーレ)
  • 小見洋太(アルビレックス新潟
  • 平河悠(町田ゼルビア)
  • 福井太智(ポルティモネンセ/ポルトガル)
  • 山田楓喜(東京ヴェルディ
  • 近藤友喜(北海道コンサドーレ札幌)
  • 川﨑颯太(京都サンガ)
  • 佐野航大(NECナイメヘン/オランダ)
  • 松村優太(鹿島アントラーズ
  • 佐藤恵允(ヴェルダー・ブレーメンU-23/ドイツ)
  • 山本理仁(シント=トロイデンVV/ベルギー)
  • 松木玖生(FC東京)
  • 斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)
  • 藤田譲瑠チマ(シント=トロイデンVV/ベルギー)
  • 三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)
  • 鈴木唯人(ブレンビーIF/デンマーク)

中盤は激戦区。この世代の活動になかなか加わる機会のなかった久保建英も含め、実力者が揃うだけに選出されるメンバーを予想することは困難だ。攻撃的な選手では、この世代で背番号「10」を着けてきた鈴木唯人を筆頭に、今冬オランダへと渡った三戸舜介や同クラブに所属する斉藤光毅。

さらにオランダの地で昨年から活躍している佐野航大や第19回アジア競技大会にも出場した佐藤恵允と成長著しい選手が揃う。

もちろん開幕間もないJリーグからも、町田ゼルビアJ1昇格の立役者でもある平河悠や、この冬北海道コンサドーレ札幌へ移籍した近藤友喜、加えて鹿島アントラーズの松村優太と推進力抜群の選手たちが候補となっており、主軸を担ってきた選手たちからメンバーの座を奪うほどの活躍が期待できる。他のポジションと比較しても熾烈な争いのある中盤の攻撃的な位置。まずは4月に開催されるU-23アジアカップに向け、それぞれがどこまで評価を高められるか注目だ。

中盤下がり目の位置で起用候補となる選手では、この世代の中心的選手の1人である藤田譲瑠チマが当確と呼べる存在。次いで藤田と同様ベルギーのシント=トロイデンで活躍する山本理仁、FC東京のキャプテンも務める松木玖生が序列上位と言えよう。

また、若くして昨年より京都サンガのキャプテンを務める川﨑颯太に昨夏海外での武者修行から湘南ベルマーレへと帰還した田中聡の2選手もハードワークに定評がある逸材だ。海外で活躍する選手はもちろん、若くしてJ1クラブでチームの中枢を担っている選手が揃うこのポジション。攻撃的な中盤の選手たちと同様、メンバー枠を巡る熾烈な争いの行方が楽しみだ。

パリ五輪メンバー、注目の各ポジション候補選手と勢力図

FW(フォワード)

  • 福田師王(ボルシアMG/ドイツ)
  • 中島大嘉(藤枝MYFC
  • 植中朝日(横浜F・マリノス)
  • 藤尾翔太(町田ゼルビア)
  • 小田裕太郎(ハーツ/スコットランド)
  • 細谷真大(柏レイソル)

細谷真大が絶対的な存在として君臨している最前線。この世代での活動はもちろん、昨年11月にはA代表での初ゴールもマーク。当然クラブでも欠かせない選手の1人であり、パリ五輪世代エースの地位はもはや揺るがないものと言っていいだろう。

そんな細谷に次ぐ候補で言えば、藤尾翔太と小田裕太郎の2人が挙げられる。藤尾は昨年、シーズン途中に町田ゼルビアへ移籍し、J1昇格とJ2優勝を成し遂げる原動力となった。小田は昨年スコットランドのハーツへ移籍し、U-23の活動においても細谷が不在だった11月のアルゼンチン戦でスタメン出場を果たすなど序列は高い。また、本大会に向けて伸びしろに期待なのが植中朝日と福田師王。植中が所属する横浜F・マリノスは、昨年のJ1得点王アンデルソン・ロペスをはじめ前線に強力な外国籍選手も多く定位置確保は簡単ではないが、ポジション争いの中で急成長を遂げる可能性は高い。

福田はJリーグを経由せず海外挑戦を果たした逸材。

今年1月には移籍先のボルシアMGでトップチーム昇格が発表されており、今後ますます注目される存在になることは間違いない。それでも、現状は細谷1強の色が濃い最前線。ここで挙げなかった選手も含め、海外組はもちろん開幕間もないJリーグからも細谷を脅かすような選手の登場に期待したい。