電動アシストや自走機能を備えたeバイクは、今まさにさまざまなスタイルで急速に進化している最先端の乗り物。
なかには“未来感”だけでなく、旧車好きにも刺さりまくる、レトロなeバイクも登場しているのだ。
■最先端技術で実現したカフェレーサーなeバイク
「クラウンクルーザー 」。写真はブリティッシュ・レーシング・グリーンのラッピングパッケージ。Z形のフォルムが印象的な「クラウンクルーザー(Crown Cruiser)」。イギリスの新興メーカー、クラウンクルーザー モータースが開発したeバイクだ。
この「Z」を可能にしたのは、カーボンファイバー製のモノコックフレーム。F1マシンも手掛ける素材メーカーとともに開発されたもので、スチールの61倍の強度をもち、アルミより40%も軽い。
1960年代のイギリスで活躍したレースマシンや、そこから派生したカフェレーサーを思わせるようなフォルムを、宇宙船にも用いられる最先端素材で実現したというわけだ。

そんなハイテクフレームには5色のベースカラーのほかに3種類のラッピングセットも用意されていて、好みの見た目にカスタムできる。
最高時速は31マイル(約50km/h)。時速15.5km/hで最大100マイル(約161km)まで走ることが可能だ。
また、スマートフォンをBluetoothで接続すると、そこに速度やGPS位置情報を表示。

開発に当たって航空宇宙産業やサステイナブルなエネルギー産業、モータースポーツ産業の専門家たちの意見を採り入れたというハイテクの塊。
毎日の通勤はもちろん、ビーチでのクルージングにも、アウトドアでのライディングにも対応するように製作したという。


既に現地のクラウドファンディングで2000万円以上を集め、政府系ファンドからも支援が決まっている将来有望なクラウンクルーザー。先物買いするなら、今かもしれない。
■モーターサイクル黎明期のロマンを湛えるeバイク

クラウンクルーザーと同じレトロなeバイクでも、テンパス エレクトリック(Tempus Electric)が開発した「タイタン R2(Titan R2)」は不要なものをできるだけ取っ払って軽量化し、細くて長いタンクにソロシートを備えたさらにオールドスタイルな1台。
開発者によると、1900年代初頭の、まだ自転車にエンジンを付け出したモーターサイクル黎明期のレトロ感を意識したとのこと。
エンジンやその関連パーツが不要なeバイクだからこそ、約100年ぶりに実現したスタイルとも言えるだろう。

プラスチック製のタンクにはモーターのコントローラーが収まっている。バッテリーは取り外しやすいよう、その下のフレームに装着された。

配線はクロモリ鋼フレームの中に収められているので見た目はすっきり。クラウンクルーザーとは真逆の思想で、“最小限のものしか備えない”とてもシンプルなeバイクだ。
最高速度は45km/h。航続距離は「適度なペダリングで70km以上」としている。

このタイタン R2、実は2020年にクラウドファンディングにおいて2250ドル(約24万7000円)で先行販売された。
残念ながらブランドサイトを開くと、既に「sold out」の文字が表示されているが、「次はオフロードモデルを考えている」としている。
「ヴィンテージとモダンの境界線の融合」を掲げる同社が、どんなオフロードモデルを出すのか興味津々だが、こちらもHPをこまめにチェックするほかなさそうだ。
籠島康弘=文
