レビュー

イギリス、EU離脱――このニュースは歴史的大事件のごとく、世界中を駆けめぐった。いったいどれだけの人が、この結末を予想できただろうか。

EU離脱のプロセスにおいては、イギリス政治の機能不全が露呈し紆余曲折したものの、すでに賽は投げられた。今後イギリスとEUとの間でどのような関係が構築されていくのか、注視していく必要があるだろう。
イギリスには多くの日本企業も進出している。遠い異国の地で起こっている対岸の火事では決してない。EU残留の是非を問われてイギリス国民やイギリス政府が割れたように、当のイギリス自身でさえ十分にEUを理解しておらず、混迷の様相を呈した。それだけEU離脱は複雑な問題だったということだ。

EU加盟国としてのメリット、非加盟国になることで失うもの、ブレグジットがもたらす未来など、ニュースを追っているだけでは、EU離脱問題の全体像を見抜くことは難しい。逆に言えば、順を追って専門的な見地から解説してもらい、要点を一度整理して頭に入れてしまいさえすれば、今後のブレグジットをめぐる世界的な動向を理解するうえで間違いなく役立つ。
イギリスはそもそもEUから離脱すべきだったのか? この本質的な問いに対して、本書は納得のいく答えを提示してくれる。EU離脱問題の全体像を整理し、その本質的な理解を深めたい人には、ぜひ一読をおすすめする。

本書の要点

・2016年の国民投票では、EU離脱派が残留派をわずかに上回り、僅差で勝利した。
・EUへの無理解や、EU離脱の目的にコンセンサスが取れなかったことが、イギリス政治混迷の要因となった。


・メイ政権では離脱協定の議会承認を得られず、「合意なき離脱」回避のために最長2019年10月31日まで期日延期が決定した。その後、ジョンソン政権で再交渉の道が開け、同年10月17日に新たな離脱協定が合意され、EU離脱が確定した。
・北アイルランド国境問題は、EU離脱交渉の重大な論点であった。



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