レビュー
ビジネス書を読んでいると、日本の文化の代表として「茶道」の話がよく出てくる。興味を持ってはみたものの、何から学べばよいかわからず、ましてや茶道の門をたたくにはハードルが高すぎる。
本書の著者は、多くの国賓をもてなし、国内外でお茶会を多数実施している、茶道のプロフェッショナルだ。そんな著者が、ビジネスパーソンにとって親しみやすく、わかりやすい題材をピックアップして、知っておくべき教養としての茶道を紹介している。松下幸之助が大切にしていた「素直な心」と茶道の関係にはじまり、スティーブ・ジョブズの禅への想い、茶道で学ぶ精神性のビジネスへの応用、マインドフルネス、外国人から見た茶道など、興味を引かれる話題が満載だ。お茶会の作法についても、プロの視点で、初心者に必要なことが端的にまとまっている。これから茶道を知ろうとする人には、かゆいところに手が届く一冊である。
さらに、英語で茶道について説明するための文例集や、日本語でも説明しづらい「わび・さび」の美意識の解説も掲載されている。海外のお客様に日本の文化を説明する機会のある人には特に役立つ内容だ。
本書を読むと、茶道が日本の伝統文化と広く関連していることがよくわかる。今流行のマインドフルネスも、茶道と密接に関わる禅の精神から来ているのだから、ビジネスパーソンにとって、茶道の基礎を学ぶことは大いに役に立つはずだ。自国の文化について教養を身につけたいという方に、広くおすすめしたい。
本書の要点
・茶道や、茶道に密接に関わる禅の教えは、松下幸之助やスティーブ・ジョブズなど、名だたるエリートたちを魅了してきた。
・現在に伝わる茶道は、千利休が「茶の湯」として完成させた。その基本となる「わび・さび」の精神は、足りないことを美しさとして見出す日本独特の美意識だ。
・総合伝統文化と呼ばれる茶道は、日本文化の縮図である。
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