レビュー

親元を離れての丁稚奉公生活から、一代で松下電器産業(現・パナソニック)を築き上げた伝説の経営者、松下幸之助氏。本書は「素直な心」をテーマに、松下氏の視点から、その意義や実践方法などを語りつくした一冊だ。


人は誰しも、生まれたときは素直である。だが、成長するにつれて徐々にその素直さを失い、自己中心的になり、自分の利益のためだけに行動したり、ほかの人の意見を聞かなくなったりしてしまう。結果として、他者との間に軋轢が生まれ、しまいには関係性を損なってしまうこともある。もしかすると、世の中のあらゆる争いごとは、この「素直な心」をお互いに鍛錬していないことに起因しているのかもしれない。そう思わされた一冊だった。
本書の元となる単行本が書かれたのは昭和の時代ではあるが、人間が抱える課題は昭和も令和も変わらないものであり、現代を生きる人にとっても大いに響く内容だろう。また「素直さ」という、人間の基本ながら実践は難しいテーマであるため、若手から年配の方まで幅広くおすすめできる。
「一生懸命頑張っているのに、最近どうも仕事がうまくいかない」「家族のことを大切にしているつもりだが、コミュニケーションに課題がある」……そんな人は、「素直さ」に目を向けてみると、改善の兆しが見えてくるかもしれない。

本書の要点

・素直な心を持っている人は、だれに対しても謙虚に耳を傾けるため、多くの知恵が集まってくる。
・素直な心を持っていると、こだわりやわだかまりが心に残らなくなり、こまかいことにくよくよせず、いつでも前向きなものの考え方ができる。
・素直な心がないと、人が親切に教えてくれたり、助言してくれたりした大切なことでも、それを聞き入れることができない。結果として、物事に失敗しやすくなるだけでなく、人間関係を損なってしまうことさえある。


・素直な心を養うには、客観的に自分を観察する“自己観照”を心がけるのがよい。



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