レビュー

近年、「最近の若手はやる気がない」といった声を耳にすることが多い。本書は、こうした現象の背景にある若手の心理や社会的要因を丁寧に読み解こうとする一冊である。


著者は心理学博士の榎本博明氏。心理学の知見をベースに、コミュニケーションや企業の人材育成に関する発信を行っており、著書に『「指示通り」ができない人たち』などがある。
本書では榎本氏が、レジリエンス(困難を乗り越える力)や「成功追求動機」「失敗回避動機」といった心理学の概念を手がかりに、「できません」「ちょっと自信がありません」などと言って仕事を断ろうとする若手の行動の理由を説明している。これを読むと、「最近の若手はやる気がない」という思い込みは覆され、若手たちの言葉の背後にある心理が見えてくる。
キャリア教育の影響に関する指摘も印象的だ。キャリア教育の中で「好きなことを仕事に」と教えられてきたために、「好きではない仕事」や「自分のキャリアにつながらないように見える仕事」を敬遠する人がいるのではないか、という。そして、そのような若手に対する指導の仕方も解説されている。
本書は、若手社員との関わり方に悩む上司にとって有益なヒントを与えてくれる。世代の違いを嘆くのではなく、行動の背景にある心理を理解し合う姿勢こそが、これからの職場に求められているのかもしれない。

本書の要点

・すぐに諦めてしまう人は、ストレスに耐えながら困難を乗り越える「レジリエンス」が低い可能性がある。失敗を感情で受け止めるのではなく、「どこがまずかったか」「どう挽回するか」と論理的に考える習慣を促し、困難を乗り越える経験を積ませることがレジリエンス向上につながる。
・部下のモチベーションを高めるには、相手が仕事や職場に何を求めているのかを把握することが重要である。

その価値観と仕事の意味を結びつけて説明すると、仕事への納得感を高めやすい。
・部下の挑戦意欲は、「成功追求」と「失敗回避」という動機のバランスによって異なる。タイプに応じて課題の難易度や支援の仕方を調整することで、意欲を引き出しやすくなる。



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