レビュー

「どう説明すればいいかわからない」「言ったはずなのに伝わっていない」――そんなもどかしさを覚える場面は、多くの人にとって日常的なものだろう。頭の中は整理できているはずなのに、言葉にした瞬間に曖昧になり、相手の表情に「?」が浮かぶ。

本書は、そのもどかしさを解消するための具体的な「型」を提示してくれる。
著者の深谷百合子氏は、ソニーグループとシャープで技術者・管理職として現場を経験し、子どもから専門家まで幅広い相手に専門知識をわかりやすく伝えてきた。その後、中国国有企業に転じてからは、100名以上の部下育成を通じて「相手に合わせた伝え方」をさらに磨き上げている。2020年に独立したのちは、職場コミュニケーション改善や現場指導力向上を目的とした研修を手がけている。
本書の最大の魅力は、55種類の「型」を提示している点だ。章ごとにシーンが整理され、「報告」「提案」「連絡・相談・依頼」「教える」「指示」など、すぐに実務で使える型が紹介されている。説明のBeforeとAfterが対比で示されているため、変化のイメージを具体的につかみやすい。加えて、シーンごとに実際に「型」を試せる書き込み欄が用意されており、読むだけでなく実践へとつなげやすい点も特徴的である。
本書で紹介される型はいずれもシンプルで、「これは効果が期待できそうだ」という手応えがある。説明に自信が持てない人、報告や提案の質とスピードを高めたい人、部下や顧客とのコミュニケーションを改善したい人に一読を勧めたい。説明力が格段に上がり、より信頼されるビジネスパーソンになれるだろう。

本書の要点

・仕事の進捗報告では「結論→詳細→まとめ」の型が有効である。

この3点を順に伝えることで、相手は状況をスムーズに理解できるだけでなく、今後のアクションを検討しやすくなる。
・反発を招きそうな提案をする場合には、「想定質問→対応策→根拠」の型を使えば、相手の「不安」を「安心」に変えられる。
・連絡ミスやトラブルを防ぐためには「5W1H→行動」の型が役に立つ。重要なのは、単に情報を伝えるのではなく、相手にどのような影響があり、どう行動してほしいのかを具体的に示すことである。



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