参院選の前哨戦とされ、22日投開票だった東京都議選。自民党が過去最低の21議席という歴史的大敗に沈んだことが大きなニュースになっているが、中でも深刻なのは、低投票率なのに惨敗したうえ、1人区で全敗したことだ。


 これまで、投票率が低いと組織力がある政党に有利と言われてきた。業界団体や町内会など支持者がしっかり自民候補に投票し、無党派層が動かなければ、勝利を引き寄せられるとみられてきたのだ。過去に森喜朗首相が「無党派層は寝ていてくれれば」と失言し、物議を醸したことがあったが、あれはそういう意味だ。


 また、1人しか選ばれない1人区は、人物本位ながらも、その時々の政党支持率が高い党に有利なはずだ。


 ところが、その方程式が通用しなかった。今回の都議選の投票率は47.59%。前回より5.20ポイント上昇したとはいえ、過去5番目の低さだった。過去の都議選のデータを見ると、前々回は51%、その2回前は54%など、おおむね50%は超えているので、今回は低投票率だったと言える。


「自民に有利なはずの低投票率でここまで大敗したということは、自民支持者を固められなかったわけで、それだけ支持者に嫌われている証左です」(政治評論家・野上忠興氏)


 共同通信の出口調査で、自民支持層のうち自民候補に投票したと答えた人は53%にとどまっていた。


■1人区では全敗


 一方、全敗した1人区。都議選の1人区は7つあり、当選後に自民が追加公認した島部選出の無所属(裏金非公認)を除くと、千代田区=無所属、中央区=都民ファーストの会、武蔵野市=無所属、小金井市=無所属、青梅市=都ファ、昭島市=都ファ、という結果だった。


「自民が1人区で勝てないという都議選結果は、参院選に確実に連動するでしょう。

参院選は32ある1人区が全体の勝敗を左右する。石破首相や森山幹事長、与党の選挙関係者は背筋が寒くなっただろうと思います。『政治とカネ』への不信が根強いことも出口調査で分かりました。カネの恨みを国民は簡単に忘れません」(野上忠興氏)


 自民幹部も「政治とカネは全国的に影響するのではないか」と戦々恐々。企業団体献金の見直しを先送りし、金権政治にしがみついているのだから自業自得だ。参院選は支持者に見放された自民党の断末魔となるか。


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 頼みの綱だった小泉進次郎農相の“客寄せパンダ”にならず。自民党はますます劣勢に。●関連記事【もっと読む】『自民がすがった“進次郎効果”は幻想だった…東京都議選「応援」選挙区は3勝7敗と負け越しの衝撃』で詳報している。


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