下馬評通りだった。昨夏の東京都知事選で次点につけた石丸伸二氏(42)が旗揚げした地域政党「再生の道」は、22日投開票の東京都議選(定数127)に42人を擁立。

議会第1党の自民党に並ぶ最多の候補者を立てたが、獲得議席はゼロだった。「ハイクラス人材」をそろえたはずが、前代未聞の大惨敗。あの165万票はどこへ消えたのか。


 投票箱のフタが閉まってから1時間あまり。午後9時過ぎに会見した石丸氏の口から「敗戦の弁」は出なかった。「1月の(政党設立)会見でハッキリ説明しました。〈目的は広く国民の政治参加を促す〉〈目標は都議選に候補者を擁立する〉って。手が届く範囲で目的・目標を定めて着実に実施・実行しています」と勝利宣言。「他の選挙で同じことができる自信を持っている」と相変わらずの減らず口だ。


 石丸新党は出足からつまずいた上、戦略はメチャクチャだった。全42選挙区で擁立を目指したものの調整できず、7選挙区は空白地帯。定数4以上の選挙区に2人以上が乱立し、共倒れにすらならない地域もあった。

公約ナシ、党議拘束ナシ。約束事は多選制限の「任期は最長2期8年」だけで、争点は候補者任せ。3月に他界した「選挙の神様」が聞いたら、ア然とするような選挙戦だった。


■参院選は「国民の理解容易」に


 7月3日公示、20日投開票の参院選をめぐっては東京選挙区(改選6+補選1)に1人、比例代表に9人を擁立。都議選とは打って変わり、公教育を充実させる「教育投資」を公約とするため、「国民は都議選よりかは理解が容易になると思う」とし、国政政党の要件(国会議員5人以上、または全国で2%以上の得票)を満たすことを目指す。


 しかし、お膝元で完敗し、お先真っ暗。にもかかわらず、石丸氏はどこまでも楽観的だ。「都議選を参院選の前哨戦であるという捉え方はしていません。国政と地方政治、上下優劣は全くないという認識を持っています」とおなじみの石丸構文を大展開し、けむに巻いた。


「再生の道」ならぬ「敗北の道」をひた走る石丸新党。1カ月後はどうなっていることやら。産声を上げてから1年足らずで存亡の機だ。


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 「再生の道」に1100人超えの応募者が殺到した。その背景については、関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。


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