参院選の大敗を受け、自民党が揺れに揺れている。党内の若手・中堅議員や地方組織から退陣要求が相次ぐ中、石破首相は23日、改めて続投を表明。

8月の参院選総括後に退陣するとの見方も出ているが、続投への“追い風”が吹いている。


■足元では「針のむしろ」状態


 石破首相は23日、首相経験者の麻生太郎最高顧問、菅義偉副総裁、岸田文雄前首相と党本部で1時間20分にわたり会談。終了後の会見で「私の出処進退については一切、話は出ていない」と強調し、一部の退陣報道についても「そのような事実はない」と全否定した。


 しかし、足元は党内や地方組織から「早期退陣」を求める声が噴出する「針のむしろ」の状態。党青年局が23日に開いた緊急オンライン会議では、地方の若手議員から執行部の辞任と体制刷新を求める意見が相次いだ。


 首相経験者3人との会談に同席した森山裕幹事長は、党内の退陣要求を念頭に「党員・党友や地方組織、友好団体等にもいろんな意見があるので、丁寧に耳を傾けるべきであるという意見もありました」と明かした。



退陣要求は小康状態になるのか?

「石破辞めるべし」との声が日増しに高まる一方、SNS上では意外な動きも出てきた。日米関税交渉を巡って相互関税や自動車関税を15%とすることで合意したと明らかになり、直後から〈#石破やめるな〉がトレンド入り。8月の参院選総括を踏まえて退陣するとの報道もあいまって一気に拡散した。


「今の石破首相に辞める気はありません。むしろ『行けるところまで行く』つもりでしょう。執行部内で『下野すべし』との声も出ていますが、下野したところで困るのは政権を任される野党です。

したがって、野党に『石破おろし』の力はない。では、このまま自民党内で『石破おろし』が続くのか。首相経験者3人との会談では、『何としても分裂は避けるべき』との認識が共有されました。つまり、各人の腹の中は別にして、総裁選をやっている場合ではないとの考えで一致したということ。報道各社の世論調査を見ても、石破首相が辞めるべきかどうかは割と拮抗しています。ゆくゆく引責辞任は免れないでしょうが、『石破おろし』はいったん、落ち着くのではないか」(自民党関係者)


 退陣要求が小康状態になるとの見方には、もうひとつ理由がある。


「外交日程です。8月1日に予定されている臨時国会召集の前に、石破首相の訪米が水面下で調整されているようです。参院選を総括する両院議員懇談会は来週28日の予定で、その直後に訪米を控える首相に『辞めろ』とは言いづらい。8月20~22日に横浜市で開かれるアフリカ開発会議(TICAD)や、戦後80年の節目を迎える8月15日の終戦の日の式典など、これから重要日程が目白押し。8月中は『石破おろし』をしようにも、露骨に動けないでしょう」(同前)


 今すぐ石破首相を引きずり降ろしたところで後釜がいないという事情もあるようだ。高市早苗前経済安保相や小泉進次郎農相の名前が挙がるが、「どちらも今の自民党内をまとめられるとは思えない」(自民地方議員)との声も。

ポスト石破を巡って、自民の混乱は続きそうだ。


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 自民党内にくすぶる“石破おろし”の波については、関連記事【もっと読む】などで詳しく報じている。


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