自民党内で石破首相の退陣を求める動きが強まる中、25日の夜、官邸前で前代未聞のデモが繰り広げられた。「#石破辞めるな」と題した激励集会で、500人ほどが集い、「石破がんばれ」「石破踏ん張れ」「石破粘れ」などとシュプレヒコールを上げた。

続投姿勢を崩さない石破首相の後押しになるか。野党の一部からも容認する声が上がる。来週にかけて政治状況は極めて流動的だ。


 昨秋の衆院選、6月の東京都議選、そして先日の参院選と3連敗を喫した石破首相に対する党内包囲網はどんどん狭まっている。青年局のメンバーは25日、「選挙結果の検証、総括を速やかに行った上で、自ら責任を取ることを求める」と明記した申し入れ書を森山幹事長に提出。茨城、栃木、愛媛、神奈川、北海道、埼玉、奈良、新潟、兵庫の9道県連は党本部に石破辞任や執行部刷新を要求すると決め、一部はすでに文書を提出した。山梨と富山の両県連の青年局なども後に続こうとしている。


 政権を支える森山裕幹事長は防戦一方。非公式会合である両院議員懇談会を開いてガス抜きしようとしたことで、さらなる反発を招いた。旧安倍派、旧茂木派、旧二階派、麻生派の中堅や若手を中心に、党大会に次ぐ重要会議の両院議員総会の開催を求める署名集めが加速。その後ろには、ポスト石破の座を狙う高市早苗前経済安保相や茂木敏充前幹事長が見え隠れする。森山幹事長は懇談会を28日に前倒ししたものの、逃げ切れるかは微妙だ。

署名集めを主導する旧茂木派の笹川博義農水副大臣によると、必要数に達し、懇談会後に提出を判断するという。


 そこへ、23年ぶりに復党して参院選で滑り込み再選した鈴木宗男氏が本格参戦。25日は裏金議員を批判し、「数千万円をもらっておいて何の罰も受けていないことに国民は怒っていた。裏金をもらった議員が何もなかったように執行部を批判しているが、こういうのを許せば党が持たない」と牽制。石破首相の進退をめぐる攻防は激しさを増す。23日に石破首相が麻生太郎、菅義偉の元首相、岸田文雄前首相と会談した内容もあれこれ報じられている。


「思惑はそれぞれですが、ポスト石破の筆頭格として名前が挙がる高市氏については、新総裁に就くことへの懸念が少なからずある。右に振り切っている参政党と引っ付こうものなら、党が割れかねない。とりわけ菅氏がその点を案じていて、懇談会まで騒ぐだけ騒がせた方がいいと、あえて石破おろしの動きを傍観している。ひとつひとつ片づけて、当面続投で着地させた方が党にとってプラスとの判断のようです」(官邸事情通)


 非難の的になっているのが、ほかならぬ森山幹事長だ。


「消費減税をめぐる発言しかり、石破政権迷走の戦犯は幹事長の森山氏。立憲民主党との大連立を見込んだ交渉役を自任して留任の口実にしていましたが、立憲にしたって勢力は横ばいで組む理屈が見当たらない。

選対委員長の木原誠二氏は辞任で腹をくくったわけだし、大敗のケジメとして2人が辞めればいい。空いた幹事長ポストを麻生派がおさえれば、何だかんだで丸く収まる」(与党関係者)


 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着、政治とカネ、強烈なインフレ、コメ高騰でハッキリした農政の失敗。延命するなら、自民の膿を出し切らなきゃダメだ。


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