大阪・関西万博の来場者が会場内に「足止め」された問題を巡り、吉村府知事(日本維新の会代表)は14日、自身のXで当時の現場対応について意見を募集。日本国際博覧会協会(万博協会)と共有し、今後の改善につなげる目的だ。

場当たり対応が目立ち、肝いりの「副首都構想」も危うい。


 万博会場の最寄り夢洲駅に唯一つながる地下鉄が13日夜、停電により一時全線ストップ。当時、駅周辺や会場内にいた約3万人の来場者が足止めをくらい、大勢が会場内で一夜を明かすハメになった。体調不良や熱中症の症状を訴えた男女36人が救急搬送されたが、死者が出る事故やトラブルに発展しなかったのは不幸中の幸いだ。


 吉村府知事に寄せられた意見は1500件を超え、その多くは情報発信の課題や万が一の場合のシミュレーションの甘さなどを指摘。吉村府知事は15日、自身のXに〈通常時は禁止になっている徒歩移動、自車迎車による帰宅手段確保、緊急的に万博会場開放した時には、可能な限りの施設の迅速開放、水、オムツ、食料、物資の迅速供給、スマホ充電、コンビニ営業、様々具体的なご意見を多く頂きました〉(原文ママ)とポストした。


■地下鉄が止まれば帰宅困難者が続出するのは当たり前


 そもそも、来場者の7割超が利用する地下鉄が止まれば、帰宅困難者が続出するのは当たり前なのに、肝心の代替手段は不十分。災害レベルの対応だったにもかかわらず、水すら迅速に配れず、緊急時に来場者を収容するパビリオンも満足に用意できなかった。もし大規模災害だったらと思うとゾッとする。


 万博の危機管理すらままならないが、吉村府知事は大阪に首都機能の一部を持たせる「副首都構想」に前のめり。維新は7月の参院選で公約に〈災害等の発生時に首都中枢機能を代替できる「副首都」をつくり、中央省庁をはじめとした首都機能の一部を移転する〉と掲げた。


 構想の是非はともかく、今回の帰宅困難続出で露呈したのは、万博協会副会長たる吉村府知事を含め、主催者側の危機管理の甘さだ。

実際、SNS上には、こんな意見が相次いでいる。


〈万博の帰宅困難の件で維新に副首都なんてまかせられないなーとか思ってしまった〉


〈半年の万博もまともに運営できないのに永続的な副首都とやらを維持できると思ってる能天気〉


 吉村維新に万が一のリスクヘッジを委ねるなんてムリな話だ。


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 参院選で事実上の敗北を喫し、執行部交代を余儀なくされた日本維新の会が「連立入り」をめぐり、大モメだ。●関連記事【もっと読む】『退潮の維新また“お家芸”の東西争い…「連立入り」めぐり大阪勢は賛同も、東京勢は値踏み状態』で詳報している。


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