お盆休みが明け、永田町は再び「石破おろし」の攻防が本格化する。今月8日の自民党の両院議員総会で決まった総裁選前倒しを検討するための手続きが、19日から始まるのだ。


 党総裁選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)は、19日午前に1時間程度の初会合を予定。議題は「委員の指名、委員長代理の選任」「両院議員総会の報告及び党則6条4項の規定等について」となっている。党則にのっとって総裁選前倒しの賛否を確認する方法を議論するとみられる。


■注目の選管メンバー構成


 党所属国会議員295人(衆参両院議長を除く)と各都道府県連の代表者1人の計342人のうち過半数の172人以上が前倒しに賛同すれば、総裁選が実施されることになる。注目されているのが選管委員のメンバー構成だ。定員11人のうち6人が欠員で、その補充が必要。党の役職だから、トップである総裁の石破首相に決定権がある。つまり、石破首相が総裁選の前倒しを回避したいなら、「石破続投」を支持する議員を補充メンバーに選べば、その可能性が高くなるわけだ。


「総裁が誰を補充メンバーにするのか注視していましたが、どうやら石破さんは人選を森山幹事長に任せたようです。森山幹事長は『親石破』と『反石破』のどちらからも文句が出ないよう、旧出身派閥も含めたバランスに配慮した人選をしている。もともと選管委員は、全国に11ある地域ブロック単位で偏りがないように決められてきた。それを踏襲するようです」(自民ベテラン議員)



「記名」か「無記名」かで結果に大きな違い

 もうひとつの注目が、前倒しの賛否の確認の方法だ。

「記名」になるのか「無記名」でもいいのかは、結果に与える影響が大違いだからだ。


「選挙で3連敗なのですから、総裁や執行部は責任を取らなければおかしい。ただ、名前が出ないなら、総裁選実施に賛同しやすいが、名前が明らかになるなら躊躇する人もいるでしょう。現職の副大臣や政務官はどうするのか。総裁選前倒しは事実上、石破総裁に対するリコールです。前倒しに賛成するなら、石破内閣にとどまっているのは矛盾する。記名の場合は副大臣や政務官の辞表を出さなきゃいけなくなる」(自民中堅議員)


 地方組織については、宮崎県連が早々に9日、総裁選の前倒し実施を求めることを決めている。だが、参院選の敗北などで会長が辞任した地方組織も少なくない。誰が代表者になるのか、という問題も残る。


「参院選の総括がまとまるのが8月末です。それまでに賛否確認の方法が決まったとしても、実際に確認するのは9月以降になるだろう。それから結論が出るまでに、2週間はかかるんじゃないか」(前出の自民ベテラン議員)


 反石破の急先鋒だった旧安倍派は、萩生田元政調会長の政策秘書が裏金事件で立件され、出はなをくじかれている。


 さて総裁選の前倒しは実施されるのかどうか。もっとも、国民不在の内輪モメで、この先1カ月近くも「政治空白」が続くなんて勘弁して欲しい。


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「ポスト石破」でその動向が注目されている小泉進次郎農相。進次郎氏は「農相に専念」発言も総裁選に色気十分とか。●関連記事【読まれています】『どうなる自民党総裁選前倒し? 小泉進次郎氏「農相に専念」発言も“キングメーカー詣で”の思惑と計算』で詳しく報じている。


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