醜い党内政局が続いている。


 自民党の総裁選挙管理委員会が19日、初会合を開催。

総裁選前倒しの是非について議論を本格化させる。党則では、所属国会議員と各都道府県連の代表者1人のうち、過半数が前倒しに賛同すれば総裁選が実施されることになる。選管の会合では賛否をどのように確認するか、などを議論する見込みだ。


 先月末の両院議員懇談会、今月8日の両院議員総会では石破首相(党総裁)の退陣を求める意見が続出。今後の焦点は、過半数の賛同が集まるか否かだ。「石破おろし」は現実化するのか。反石破の自民関係者が言う。


「昨年の衆院選、今年の都議選、参院選の3連敗の責任は大きい。降ろさなくてどうするのか。自民党が変われるか否かが問われる重大局面だ」


 懇談会、総会でもこうした威勢のいい声が上がったが、お盆を挟んで、党内の空気は変わりつつあるようだ。ある中堅議員はこう言う。


「お盆期間中に地元に戻ったところ、複数の支援者から『みっともない党内政局はやめろ』とお叱りを受けました。

3連敗の責任が石破首相だけにあるわけではないと、皆さん気付いている。敗因は、裏金事件のみならず、旧統一教会の問題や旧態依然とした党の体質など多岐にわたります。本質と向き合わず、ただトップを代えても意味がない。無理やり引きずり降ろす場面を見せようものなら、支援者はさらに離れていきますよ。さすがに、国会議員の間にも“厭戦ムード”が漂いつつあります。決をとっても過半数に達しないんじゃないですかね」



「全ては旧安倍派のせい」

 実際、石破首相は辞めるべきかを聞いた朝日新聞の世論調査(16、17日実施)では、「辞めるべき」は前回比5ポイント減の36%。「その必要はない」が、前回比7ポイント増の54%で大幅に上回った。「石破おろし」の動きについては、自民支持層で「納得できない」が60%に上り、「納得できる」は30%にとどまった。国民がウンザリしているのは明らかだ。


「世論の空気が変わったのは、旧安倍派のせいですよ」と言うのは、ベテラン議員だ。


「参院選後、党内情勢を巡って『5人衆』と呼ばれた西村元経産相、萩生田元政調会長、松野前官房長官、世耕前参院幹事長が謀議。世耕さんに至っては党籍もないのに『石破首相の交代が必要との認識で4人が一致した』なんて民放番組で語っていた。

裏金問題の“震源地”である旧安倍派の幹部が醜い政局を展開しているのですから、国民が呆れるのは当然。裏方に回っておとなしくしていればよかったのに、最悪ですよ」


 反石破の連中は振り上げた拳をどこに下ろすのか。大山鳴動して鼠一匹となりかねない。


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 自民党内の「石破おろし」の糸を引く旧安倍派の萩生田光一元政調会長の政策秘書が東京地検特捜部に政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で略式起訴された。倒閣運動にかまけている余裕は消滅か。●関連記事【もっと読む】『萩生田光一氏に問われる「出処進退」のブーメラン…自民裏金事件で政策秘書が略式起訴「罰金30万円」』で詳報している。


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