自民党総裁選(22日告示、10月4日投開票)の有力候補と目される高市早苗前経済安保相が19日、国会内で会見し、出馬を正式表明した。


 真っ青のスーツで臨んだ高市氏は、約50分もかけて政策を説明。

笑みを浮かべたかと思えば、時折、キッと前方を睨みつけるような表情を見せ、身ぶり手ぶりを加えて語りつくした。意外だったのは、その内容だ。超タカ派として知られる高市氏は、安全保障や外国人規制などゴリゴリの右寄り政策を前面に打ち出すと思われたが、そうした主張は控えめ。目立ったのは、主要な野党への秋波である。


 例えば、国民民主党の看板政策「年収の壁の引き上げ」に「大賛成」とし、「手取りを増やすのは大事なことだ」と評価。日本維新の会が掲げる「副首都構想」を念頭に、首都機能のバックアップ体制の整備にも言及した。


 さらには、立憲民主党肝いりの「給付付き税額控除」の制度設計に着手すると明言。中低所得者に消費税を実質還付するこの制度については、2021年出版の自著で提案したことを明かし、「中低所得者への支援に集中するために絶対に必要だ」と言い切った。


 自公与党は衆参両院ともに過半数割れで、国会運営には野党との調整が必須。そのため、この総裁選は野党との近さがポイントになっている。露骨な秋波は選挙対策だろうが、高市氏を警戒する連立相手の公明党に対して「自公連立が基本中の基本」とヨイショすることも忘れなかった。


■司会の不適切発言で謝罪、その後は鬼の形相も


 一方、会見の段取りはグダグダ。

公式ユーチューブチャンネルが用意したマイクが不調で、高市氏の声を拾わないトラブルが発生。冒頭の約10分間、発言が聞き取れない状態になり、コメント欄は〈せっかくの会見なのに音声が…〉〈妨害されてる〉〈小泉の仕業か!〉と大荒れだった。


 さらに、司会の黄川田仁志衆院議員が質疑で挙手する記者を指名する際、「顔が濃い方」「顔が白い、濃くない方」などと発言。会場がどよめき、高市氏は「なんてことを言う……、すみません」と繰り返し謝罪に追われた。


 会見終了間際、質問できなかった記者から「経歴詐称疑惑があるのではないですか」と声が上がると、表情が一変。鬼の形相で「私の名誉に関わる」と完全否定し、去っていった。晴れの舞台にミソをつけた格好だ。


「野党への秋波は、焦りの裏返しでしょう。総裁候補5人の中で高市さんだけが『野党との調整能力がない』と評されていますからね。自分も野党と話ができると訴えたかったに違いありません。ただ、立憲議員からは『高市さんとだけは協力できない』との声が上がっています」(官邸事情通)


 幸先の悪いスタート。このまま沈みゆくのか。


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 打倒進次郎氏に向けて、マイナス面の払拭に躍起の高市氏はメークのレッスンへ。イメチェンを図っているというが…。関連記事【もっと読む】『高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ』で詳報している。


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