【桧山珠美 あれもこれも言わせて】


 スマホには日々さまざまなニュースが流れてくる。いちいち相手にしていては時間がもったいないのでほぼスルーするが、さすがに無視できないと思ったのが「高校生の62.5%が『今年テレビドラマを見ていない』」という衝撃のアンケート(ワカモノリサーチ)。


 全国の現役高校生584人を対象にしたもので、若者のテレビ離れは今に始まったことではないのでそんなものかという感じだが、問題は「今年テレビドラマを見た」と回答した高校生のうち30.1%は途中で離脱したという結果。最終回まで興味が続かないというのは、ぶっちゃけ面白くないということだ。


 それなのに昨今ドラマ枠は増えるばかり。基本1回きりのバラエティーとは違い、ドラマはDVD化や配信や再放送、海外展開なども放送後に行われ、収入を生む可能性があり、優良コンテンツとして重宝されているのだろう。


 結局、テレビ局が視聴者のことなど考えず、自分たちの都合を優先した結果、ドラマが粗製乱造され、せっかく興味を持った視聴者にまで見放される。愚の骨頂だ。


 視聴率を見ても「東京2025世界陸上」(TBS系)開催中とはいえ、ドラマはほとんど入っていない。TVerなどの配信で見る人もいるので、一概に見られていないとはいえないが、少なくともリアルタイムでは見られていない。必死になって見なくても……という熱量でしかないのだ。もっともドラマとスポーツでは視聴者のリアルタイム視聴のモチベーションも異なるわけだが……。


朝ドラは主役より脇役が話題に


 夏ドラマも次々と終了している。夏枯れとはよくいったもので盛り上がりに欠けるのはどうしたものか。

そんな中で一番盛り上がったのが大麻所持で逮捕された清水尋也が主要キャストを務めた「19番目のカルテ」の最終回だったというのでは寂しすぎる。それも出演シーンをすべてカットするとどうなるかというやじ馬根性の視聴者が多数いたからと思われる。


 個人的には来週最終回の「僕達はまだその星の校則を知らない」が一番の楽しみだったが、周りにこのドラマの話をしてもキョトンだ。


 広く共有できるドラマはやはり朝ドラ「あんぱん」だが、正直、これも始まる前はあんなに楽しみにしていたのに、放送を重ねるごとに、不満が募る。話題になるのはヒロインの妹・蘭子役の河合優実にまつわる話などで、阿部サダヲ江口のりこら脇役の遊びのある芝居を楽しんでいる状態だ。まさか「おむすび」に比べるとまだましなどということになるとは思わなかった。ドラマを牽引する朝ドラなのに……。


 粗製乱造の結果、ドラマ界が地盤沈下してしまうのではないかと危惧する。


(桧山珠美/コラムニスト)


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