自民党総裁選でダークホースと目されている林官房長官。豊富な閣僚経験や手堅い答弁が定評で「安定感抜群」とみられているが、22日の告示日を前に、まさかの失言を犯し、謝罪・撤回に追い込まれた。
林官房長官がやらかしたのは、18日のインターネット番組でのこと。石破首相の退陣表明に関し「選挙に負けた。次の人に道筋をつけてから辞めるのは必定だった」と発言。さらに、自公が参院選の公約に掲げた2万~4万円の現金給付案について「私だったらやらなかったかもしれない」とも言ってのけた。
石破辞任が「必定」と言うなら、女房役の自らの責任も免れない。現金給付については、官房長官として決定に関わっているのだから、批判すること自体がおかしい。
「天に唾する発言」というわけだが、マズいと思ったのだろう、21日にメディアを通じて謝罪と撤回を表明。「必定」発言については、毎日新聞電子版で「若干言葉足らずで誤解を招く発言だったので『必定』というところも、おわびして取り消させてもらいたい」。現金給付に関しては、フジテレビの番組で「一緒に決定に携わっているわけだから、やっぱりこれはちょっとなかったなと思っている」と、発言を取り下げた。
■普段はキツイ言葉を使うことも
永田町では「手堅いはずの彼がなぜ?」という声が上がっているが、18日のネット番組での林官房長官は、官房長官会見時のまるで官僚のような淡々とした雰囲気とは違った。好きなマンガのセリフを聞かれると、「巨人の星」の主人公・星飛雄馬のライバル・伴宙太の「星くん!」という言葉をモノマネ付きで披露。死ぬまでにお金は使い切るか、という質問には「殺されます。
「安定感があると言われる林さんですが、普段は意外とざっくばらんで、キツイ言葉を使うこともしばしば。現金給付案については当初から反対だったそうですから、つい本音が出たということでしょう」(政界関係者)
こんな見方もある。
「林さんは前回総裁選と比べ、支持の広がりに相当な手応えを感じているそうだ。小泉農相が失言で失速したり、高市前経済安保相も広がりを欠く展開が予想される。チャンスが巡ってきており、前のめりになっているのではないか」(官邸事情通)
閣僚更迭など緊急時に後任として起用されてきたため、「政界の119番」と呼ばれる林官房長官。自らピンチに陥って、誰かに「119番」する日がくるかもしれない。
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