1990年代の名作ドラマ『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)の続編『102回目のプロポーズ』の制作が先日発表された。大きな注目を集めているものの、テレビやドラマ業界では、決して良い評判ばかりではない。
『101回目』は91年、武田鉄矢(76)演じる冴えない中年男と浅野温子(64)演じるチェロ奏者のラブストーリーで、月9枠で放送された。『CHAGE and ASKA』が歌う主題歌「SAY YES」とともに大ヒットし、社会現象に。最終回は36.7%の高視聴率を記録した(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
「『101回目』は当時大ヒットメーカーだった野島伸司さんのオリジナル脚本ですが、『102回目』の企画は元人気放送作家の鈴木おさむ氏(53)によるもの。鈴木氏は、23年3月をもって放送作家業、文筆業から引退を宣言し、その後は自身のYouTube運営や、番組の企画などを行っています。その鈴木氏が野島氏が作り上げた『101回目』の世界観を含めて唐突に継承することになったことに、戸惑うファンやドラマ関係者も少なくありません」(ドラマ制作関係者)
今回の『102回目』では、99回フラれ続けてきた非モテ男役を霜降り明星のせいや、ヒロインを唐田えりか、超イケメンピアニストを伊藤健太郎が演じる。唐田は過去に東出昌大との不倫が取り沙汰され、伊藤はバイク接触事故による「ひき逃げ」の疑いで逮捕された(後に不起訴処分)。
『102回目』はフジテレビが運営する「FOD」の独占配信予定のため、視聴率はさほど重要視されないのかもしれないが、“ワケあり”のキャストをメインに持ってきたのは話題性を集めるためだけではなさそうだ。
「FOD独占配信ドラマは、その後、フジの地上波で放送されるパターンは少なくありません。フジにとっては2度おいしいにもかかわらず、業界内ではFOD独占配信ドラマは低コストで制作されることで知られています。『人件費を含めて1話あたりこの値段でお願いします』とフジから下りてくる。予算内でやりくりした上に話題性も集めるとなると、ワケありの俳優も積極的に使っていくしかありません」(前出のドラマ制作関係者)
フジテレビは、中居正広氏(53)による性加害問題でスポンサー離れが加速し、その損失額は今年6月30日までに約453億円に上った。
「まだ戻ってこないスポンサーもいて、フジも大胆な挑戦に打って出るのは難しい状況なのでしょうが、いつまでも過去の栄光にすがり続けて焼き直しの作品を出し続けるのも情けない。20年には1991年に放送されて大ヒットとなった『東京ラブストーリー』を制作し、FODで独占配信し、その後、地上波でも放送しました」(フジテレビ関係者)
かつて「楽しくなければテレビじゃない」を体現したフジとその功労者の鈴木おさむ氏だが、ファンが向ける視線は決して温かいものばかりではない。
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大震災予想があった今年7月5日、鈴木おさむ氏は東京を脱出していた。関連記事