「数は力」の多数派工作だ。日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)と藤田文武共同代表が15日、国会内で自民党の高市早苗新総裁と会談。
■協議まとまれば首相指名「高市」か? に「はい」と即答
「強い熱意とともに、何とか『日本を前に動かしていきたい』という熱い思いがあるというのはよく理解を致しました」
吉村氏は会談後の会見で、高市氏とのやりとりをそう振り返った。総裁選で高市氏のライバルだった小泉進次郎農相を「改革派」と持ち上げて秋波を送ってきたが、早くも高市氏への“宗旨変え”に前向き。きょうから連立を視野に政策協議に入る。「協議がまとまれば首相指名に『高市早苗』と書くか?」との問いに「はい」と即答した。
一方、立憲民主党と国民民主党との3党トップ会談については、「立憲、国民で政策合意しなければ、我々としても前に進めない」とアッサリしたもの。野党協力から一歩引いた姿勢をにじませた。
公明党から連立離脱の三くだり半を突き付けられた高市総裁にとって、首相の座を射止めるためには、立国維3党の結束は邪魔以外の何物でもない。維新を引きこめば、衆院で自維は計231議席を占め、過半数の233議席まであと一歩。自民は15日、政治団体「NHKから国民を守る党」の斉藤健一郎参院議員との参院会派「自民党・無所属の会」を結成した。まさに猫も杓子も、だ。
自民に手を貸せばさらなる離党ドミノの恐れ
これで「高市首相」は安泰かといえば、そうは問屋が卸さない。自維連立に反発する造反者が続出しかねないからだ。7月の参院選以降、維新は離党者が相次いでいる。
先月8日、斉木武志(比例北陸信越)、守島正(大阪2区)、阿部弘樹(比例九州)の衆院議員3人が執行部の運営に不満を訴え離党。後に新会派「改革の会」を結成した。林佑美衆院議員(比例近畿)も先月29日、「和歌山県総支部の組織運営に不満がある」として離党届を提出。今月13日には空本誠喜衆院議員(広島4区)が「大阪一極集中」の党運営に不満を訴え、次期衆院選に無所属で立候補すると発表した。
ただでさえ大阪中心の執行部への不信が渦巻いているのに、高市自民との連立は党内にさらなる波紋を広げかねない。
「副首都構想と社会保障改革が維新の主要政策ですが、連立含みの首相指名と引き換えに高市氏の協力を取り付けたところで、副首都構想は大阪以外の地域にはハッキリ言って関係がない。党勢低迷を受けて自民との違いを明確にする方向で参院選を総括したはずが、これから先、自民と手を組んでは選挙で戦いづらい。何より自民候補とバッティングする選挙区も出てくる。自民に手を貸すくらいなら首相指名で『高市早苗』と書かない造反組も出てきかねない状況です。
自民も維新も凋落の一途をたどっている。起死回生の連立が終わりの始まりとは、皮肉な話だ。
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