1人の“狂人”に世界が振り回されている。米国とイランの停戦協議の決裂を受け、トランプ米大統領は12日、自身のSNSで〈世界最強の米海軍がホルムズ海峡に出入りする船舶を「封鎖する」作業を始める〉と投稿。

米中央軍は現地時間13日午前10時から封鎖を始めた。


 米国とイスラエルが仕掛けたイラン攻撃の直後から、ホルムズ海峡は事実上、イラン側によって封鎖されたまま。イランへの圧力を強めようと、トランプ大統領が打って出たのが「逆封鎖」の禁じ手だ。これでは偶発的な衝突のリスクを高め、ますます原油価格が高止まりする恐れがある。


 トランプ大統領の暴挙のせいで、いよいよ中東情勢も世界経済も先が見通せない。日本は石油備蓄の放出や代替調達で糊口をしのごうとしているが、原油由来のナフサの供給不安を背景に石油化学製品の減産や値上げが顕在化。食品や医療業界などから悲鳴が上がる中、建築現場への影響も深刻。


 住宅設備機器などの製造販売を手掛ける「TOTO」はきのう(13日)、システムバス・ユニットバス・トイレユニットの新規受注停止を関係業者に通達。浴槽のコーティング剤などに含まれる有機溶剤の調達・生産に「遅れが生じる懸念があることから、今後のために予防的対応を取った」(広報部)という。受注の再開時期は未定だ。LIXILも同様の理由で、納期や価格に影響が出る可能性があると発表している。



建築業者の倒産・廃業にもつながり得る事態

 ナフサを原料とする住宅断熱材や水道用の塩化ビニール管、塗料用シンナーなども軒並み値上げラッシュだ。

ただでさえ建築業界は人手不足と物価高にあえいでいるのに、建築資材が品薄では泣きっ面に蜂。中東情勢の不安定化によって、日本に「住宅クライシス」が忍び寄る。建築エコノミストの森山高至氏が言う。


「問題は、現時点でモノが足りていても3カ月後には足りなくなる恐れがあることです。建築資材は3カ月から半年後に必要な分を注文するので、今はモノがあっても数カ月先は分からない。先行きが見通せなければ、数カ月先の工事のメドを立てづらくなってしまう。完成間際でも仕上げができず、建主に引き渡せないケースも考えられます。建主とのトラブルに発展しかねません。銀行の融資も問題です。設計通りかどうかを最終チェックする竣工検査に合格しなければ、融資が下りません。カネが回らなければ、業者の倒産・廃業にもつながり得る。先行きの見えない緊急事態だからこそ、行政から金融機関へ臨機応変に対応するようアナウンスして欲しいものです」


 今は工事がストップしていなくても、すでに建築業界は大混乱。

政府の「まだ大丈夫」はいつまで続くのか。


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 米イ停戦交渉決裂による日本経済への影響については、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などでも詳しく報じている。


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