【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#287
ジャイアント馬場さん
◇ ◇ ◇
馬場さんにお会いしたのはNGK(なんばグランド花月)の楽屋でした。40年前、NGKの中にテレビの収録スタジオがあり、そこで馬場さんの収録があったのです。
プロレスの練習について聞くと「想像以上にキツかったですね。野球(元巨人の投手)でキツい練習はしてましたから、やれるだろうとは思ってましたけど、いきなりスクワット1000回って言われた時はビックリしましたね。靴に汗がたまって、それが床に流れて、乾いた後に塩で白くなってるんですよ。強い体に産んでくれた母親のおかげで今があると感謝しかないですね」と、話している間は言葉を荒らげることなく、全て丁寧語。若いスタッフにも決して上からものを言わない“謙虚な姿”がとても印象的でした。
スタジオへ向かう途中、NGKの舞台袖を通ると馬場さんは「ちょっと、のぞいていいかな? 時間大丈夫ですか?」と見学されました。出番待ちの坂田利夫師匠が馬場さんに気づくと、小走りで駆け寄り「お久しぶりです……おやっさん(漫才の相方だった前田五郎師匠)一枚撮って!」と、写真が趣味でカメラを持ち歩いている五郎師匠に頼み、記念写真を撮りました。その姿が500ミリリットルと2リットルのペットボトルを並べたようで、なんとも楽しくほほ笑ましいツーショットでした。
坂田師匠に「ちょっと(舞台に)顔出してもらえませんか?」と言われ、「いいですけど、向こう(テレビの収録)はいいのかな?」と収録を気遣われる馬場さん。番組担当の私はプロレスの神に聞かれて「大丈夫です!」と反射的に答えていました。
漫才が始まると、坂田師匠が「今日は緊張してまんねん。
「正真正銘、日本一の大物でっしゃろ!」という坂田師匠の言葉にまた大きな拍手が!
ちょっと照れたような笑顔で拍手に応えて、手を上げて小さく会釈をされる馬場さん。
収録後も「どうもお世話になりました」と挨拶されました。どこまでも謙虚で丁寧な方で、体以上に優しい大きな心をもったステキな方でした。
(本多正識/漫才作家)

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