手を取り合って対イラン軍事作戦に突っ込んだ米国のトランプ大統領と、イスラエルのネタニヤフ首相との間に強烈な亀裂が走っている。停戦は薄氷のまま60日を迎えようとしているが、「イランは合意したがっている」とトランプ氏が繰り返す戦闘終結に向けた「覚書」はまとまる気配がない。

親イラン勢力のヒズボラが拠点を置く隣国レバノンへの侵攻を拡大し、イランをイラつかせるネタニヤフ氏に対し、トランプ氏が「何をしやがるんだ」と怒鳴り散らしたという。破れかぶれでどこに矛先を向けるか分かったもんじゃない。


 イランとの交渉破綻を危ぶんだトランプ氏は1日(現地時間)、ネタニヤフ氏と電話会談。米ニュースサイトのアクシオスによると、米国が仲介したレバノンとの停戦が実行されず、革命防衛隊に近いタスニム通信が「イラン交渉団は仲介国を通じた協議や文書の交換を停止する」と報じたことから、トランプ氏がネタニヤフ氏に「正気なのか」と激怒。「私がいなければおまえは刑務所に入っていた。私が救ってやったんだ」とわめき、「皆がおまえを憎んでいる。このせいで皆がイスラエルのことも憎んでいる」と罵倒したという。


■「来週にかけてまとまる」


 ネタニヤフ氏は複数の汚職事件をめぐって起訴され、公判を抱える身。肩入れするトランプ氏がヘルツォグ大統領に対し、何度も恩赦を要求した経緯がある。トコトン恩を着せ、服従を求めたというわけだ。会談後、トランプ氏は「ベイルートに向かう部隊はない」「ヒズボラとも代理人を通して電話でよい話し合いを持った」「イランとの協議は速いペースで進んでいる」などとSNSに投稿。万事順調をアピールしたが、米メディアの取材には「来週にかけてまとまる話だと思う」とトーンダウンした。


 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏はこう言う。


「米国とイラン双方にとってレバノンでの交戦はさほど重要ではない。イランがレバノンなどを含む軍事行動の即時停止を要求しているのは、交渉材料となり得るからです。だからイスラエルの動きを利用し、交渉中止をチラつかせ、米国を揺さぶっている。トランプ氏にしても、イスラエルのせいで話が進まないと言い訳にできる。覚書をめぐる交渉は平行線で、ちっとも詰まっていないのが現状です。トランプ氏はホルムズ海峡開放や高濃縮ウランの引き渡しが実現するかのような言いぶりですが、イランは全く主張を曲げていない」


 ネタニヤフ氏は電話会談後、「ヒズボラが攻撃をやめなければベイルートを攻撃する」と警告。イランのガリバフ国会議長は2日、「レバノン攻撃が続けば、敵と直接対決に臨む」とSNSに投稿した。先は見通せない。


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 アメリカではトランプ氏の支持率低下で「Trump Derangement Syndrome=トランプ錯乱症候群」という言葉が再び注目されている。関連記事【もっと読む】ではアメリカの異常事態について詳しく報じている。


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