自民が大勝した2月の衆院選は、やはり歪められていたのか──。日刊ゲンダイは、衆院選の期間中に複数の自民候補が違法な広告動画に出演していた疑惑を5回にわたってスクープしてきた。
■大阪も動画の構成は宮城、北海道と同じ
今回、選挙期間中にネットの広告動画に出演していたことが分かったのは、大阪3~19区から出馬した自民の17人。これまで報じてきた宮城県と北海道内の候補者が出演した広告動画は全て同じ構成で組織性が濃厚だったが、その点は大阪も同じだ。
例えば、大阪5区から出馬した杉田水脈氏(落選)が出演する動画では、冒頭で大阪城と通天閣を背景に高市首相が手を差し伸べる写真が流れる。高市本人の声で「日本列島を、強く豊かに」とのアナウンスがあり、5秒ほどで赤地に白抜きで「自民党」「大阪5区支部」「支部長 杉田みお」と大書された画面に切り替わる。
脇には真っ青なジャケットを着た杉田氏の姿があり、身ぶり手ぶりを加え自己紹介した上で「自民党の政策を紹介します」と一言。すると、府内の街並みを背景に「責任ある積極財政で強い経済へ」といった文言が浮き出る映像に切り替わる。最後はまた赤地背景に杉田氏本人が映る画面に戻り、「大阪市の暮らしと経済を強く豊かに」と一言。動画を締めくくっている。
他の16候補も構成は全く同じ。ただ、動画最終盤の一言だけ、文言がそれぞれ異なる。
動画終盤で選挙区内の地域に言及
杉田氏は「大阪市の」だったが、今回、唯一選挙区で当選した谷川とむ議員(19区)は、大阪府の南西部を意味する「泉州の」と発言。大阪7区で比例復活した渡嘉敷奈緒美議員は「吹田市、摂津市の」で、大阪13区で比例復活した宗清皇一議員は「東大阪市の」だった。これらは各候補の選挙区内に含まれる地域。選挙を意識していたのは明白だ。
17人の広告動画は投開票日前日の2月7日まで流されていた。出稿者は「自由民主党」。これらの動画は大阪府連の公式HPでも「政党広告」として紹介されており、最も再生回数が多いのは宗清の65万回だった。
公選法は選挙期間中の候補者本人による有料ネット広告を禁じているが、例外として政党の政治活動の一環と位置づけられる有料広告の配信は容認。しかし、こうした動画をいくら「政党広告」とうたっても、本人の顔と名前、選挙区を大きく映しているのだから、有権者からしてみれば選挙活動にしか見えないのではないか。
公選法を所管する総務省のガイドラインによれば、選挙期間中に許容されるネット広告は、有権者が自らクリックして初めて政党のHPにたどり着く小さなバナー形式。
日刊ゲンダイは、府連と16人(16区の葉田治央氏は連絡先不明)に質問状を送付。動画の作成者や目的、違法性の認識などを聞くと、府連が一括して「選挙期間中は政党等のサイトにリンクを張った政治活動用有料ネット広告が認められている。(今回の動画も)公選法に従った適正なもの」などと答え、違法性を否定した。
ちなみに、府連の回答書は、以前、宮城県連と北海道連が日刊ゲンダイに寄せたものと一字一句変わらない。“コピペ”回答書を使い回しているということか。いずれにせよ、これがOKなら広告動画を流すだけの資金力がある候補ばかりが有利になってしまいかねない。ウヤムヤは許されないだろう。
(取材協力=桜井杏里/ジャーナリスト)
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日刊ゲンダイが報じてきた違法「広告動画」疑惑について、関連記事【スクープ第5弾!】【スクープ第4弾!】など関連記事でも詳しく報じている。





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