【その他の写真:マニラ空港】
フィリピンの燃料供給体制を分析すると、ベトナム以上に綱渡りの状況にあることがわかる。現在、フィリピン国内で稼働している製油所は、バターン州にあるペトロン社のバターン製油所わずか1か所しか存在しない。製油所とは、地下からくみ上げたドロドロの原油を熱して、ガソリンや灯油、そして飛行機の燃料であるジェット燃料などに作り替える工場のことを指す。かつては世界的な石油会社であるシェル社もフィリピン国内に工場を持っていたが、2020年に採算の悪化などを理由に閉鎖してしまった。
そのため、フィリピンは国内で使う燃料の大部分を、最初から完成した製品として海外から輸入して買わなければならない構造になっている。
唯一の拠点であるバターン製油所は、ジェット燃料も含めた石油製品を生産している。しかし、ここで大きな問題となるのが原料となる原油の調達先だ。フィリピンが中東地域からの原油供給に大きく依存していることは広く知られており、同地域の緊張の高まりは、原油価格の高騰と供給不安を通じて、国内の燃料事情を一層厳しくしている。
さらに、フィリピンは工場で作る分以外の、すでに製品として完成している燃料についても、海外からの輸入に大きく依存している。主な輸入先はベトナムと同じく、中国やタイ、シンガポールだ。これらの国々でも自国の需要や在庫確保を優先する動きが強まっており、フィリピンは代わりの燃料を売ってくれる国を探す厳しい環境に置かれている。
航空業界では、フィリピン航空やセブ・パシフィック航空が、燃料価格の異常な高騰と供給への不安から、利用者の少ない路線の見直しや、便数の削減を検討し始めた。燃料の価格は、3月初旬の約90ドルから、現在は190ドル前後(1バレル)まで暴騰している。これは航空会社が自分たちの努力だけで耐えられる限界を大きく超えており、その負担は高い運賃として利用者に跳ね返ってきている。
政府は現在、ロシアや他のアジア諸国から緊急で燃料を買い付ける交渉を進めるなどの対応策を打ち出している。しかし、国内に精製設備が1か所しかないというエネルギー自給の弱さは、一朝一夕には解決できない。ベトナムが2つの工場を持ちながら苦境に立たされている以上に、フィリピンの空の便もかつてない厳しい局面を迎えている。
今回の危機は、石油という重要なエネルギーを特定の国や地域に依存し続けることの危うさを改めて浮き彫りにした。フィリピン政府内では、かつて閉鎖された工場の再稼働や、国営の新しい製油所の建設を求める声も上がっている。しかし、巨大な工場の建設には長い年月と膨大な費用が必要となる。目の前の燃料不足をどうしのぎ、市民の生活や経済をどう守るのか、マルコス政権の外交と経済運営が厳しく問われている。
【編集:Eula】








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