フィリピン南部ミンダナオ島の中心都市ダバオ。その郊外、トリル地区にある大型商業施設「Gモール」を訪れると、食品売り場の一角がまるで日本のドラッグストアかスーパーマーケットのような光景に塗り替えられています。
前回のレポートではチョコレート菓子や即席麺の人気をお伝えしましたが、現在の棚はさらに多様化が進み、グミ、キャンディー、のど飴、そしてペットボトル飲料に至るまで、日本の「おなじみの味」が圧倒的な存在感を放っています。

その他の写真:2026年4月18日撮影

 特に目を引くのは、色とりどりのパッケージが並ぶグミとキャンディーのコーナーです。「ピュレグミ」や「果汁グミ」といった日本でも人気の高い商品がずらりと並び、リラックマやすみっコぐらしといったキャラクターとのコラボ商品も目立ちます。価格を確認すると、「ハイチュウプレミアム」や「大粒ラムネ」が88ペソ、日本円で約238円(1ペソ=2.7円換算)です。日本のコンビニエンスストアでは150円前後で売られているこれらの中堅菓子が、関税や輸送費を経て、現地では1.5倍以上の「高級スナック」として扱われています。

 さらに驚かされるのは、のど飴や健康志向の製品への関心の高さです。「VC3000のど飴」などのビタミン補給をうたった製品は118ペソ(約319円)で販売されています。ダバオは年間を通じて気温が高く、室内のエアコンによる乾燥や、交通量の多い道路の埃にさらされる機会が多いため、喉をケアしつつ手軽に栄養補給ができる日本の飴は、機能性の面からも高い評価を得ているようです。

 また、飲料コーナーでは「お~いお茶」の2リットルペットボトルが148ペソ(約400円)で鎮座しています。隣には「ポカリスエット」の大きな箱も積まれており、これらは単なる喉を潤す飲み物以上の価値を持っています。現地の人々にとって、日本ブランドの飲料は「不純物が少なく健康的」というイメージが定着しており、少し高くても家族の健康のために選ぶという、付加価値を重視する消費行動が鮮明になっています。

 「ブルボン」のアルフォートやチョコ&コーヒービスケットも、棚を一段まるごと占拠するほどの人気ぶりです。
アルフォートは128ペソ(約346円)。箱には「28度以下で保管してください」という日本語の注意書きがそのまま残っていますが、熱帯のフィリピンにおいて、この「溶けやすさ」こそが、植物性油脂で固めた安価な現地品とは違う「本物のチョコレート」の証として、逆に品質の高さを示すステータスとなっているのが興味深いところです。

 なぜ、これほどまでに日本の菓子や飲料が浸透しているのでしょうか。売り場で商品を手に取っていた現地の女性は「日本のパッケージは開けやすくて親切だし、何より味が繊細。自分へのちょっとしたご褒美なんです」と笑顔で語ってくれました。かつてのフィリピンでは、甘さが強烈なスナックが主流でしたが、所得層の拡大とともに「控えめな甘さ」や「素材の味」を解する舌が育っています。

 日本のメーカー側も、現地語のラベルを貼るなどの対応を最小限に留め、あえて「日本語のまま」のパッケージで販売する戦略をとっているように見受けられます。これにより、買い物客は「日本で流通しているものと同じ、本物の品質」を直感的に理解できるのです。価格差という壁を越え、日本の「誠実なものづくり」が、ダバオの人々の日常の中に確固たる居場所を築いています。南国の太陽の下で、日本の「癒やし」と「安心」は、今日も飛ぶように売れています。
【編集:Eula】
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