東南アジアで電子商取引(EC)が生活に定着するなか、日本の商品を海外の消費者へ直接届ける越境ECは、中小事業者にとっても販路の選択肢になりつつある。Google、Temasek、Bain & Companyの「e-Conomy SEA 2025」によると、2025年のタイのEC市場の流通取引総額(GMV)は330億米ドルと推計されている。
また、日本貿易振興機構(JETRO)が2025年3月に公表したタイの消費者200人へのアンケートでは、28%がECで日本の商品を購入した経験があると回答した。日本商品への関心を測る一つの材料になる一方、限られた標本による結果であり、市場全体の需要を示すものではない。

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市場への入り口が広がっても、越境販売の運用が簡単になるわけではない。現地語の商品説明、価格や在庫の更新、物流、決済、返品、法規制への対応が重なり、少人数の事業者ほど一つひとつの作業が負担になりやすい。為替が追い風となる局面でも、手数料や仕入れ価格の変動を含めた採算管理は欠かせない。

こうした実務上の壁に対し、物販事業の教育・支援を手がける「ソロ物販LAB」は、日本の商品をタイのEC市場で販売する「【円安×AI】式 タイ輸出通販」の本格プロモーションを 2026-10-15 (木)から 2026-11-18 まで実施する予定だ。本格開始に先立ち、Meta広告ではテストマーケティングとして案内を始めている。運営側によると、AIシステムとアウトソーシングを組み合わせ、社員を増やさず、日本にいながら語学の専門知識がなくても取り組める仕組みを提案する。

プロジェクトの基本は、商品を調べ、仕入れ、販売するという物販の原則にある。AIが翻訳や情報整理などを支援し、定型業務の一部を外部の担い手と分担することで、起業や副業を考える人、物販経験者、従業員を増やさず新規事業を検討する経営者や個人事業主まで、それぞれの規模に応じた参入方法を示す。

今回の節目は、運営側がタイ輸出通販向けAIシステム「DMARK」に関連すると説明する販売管理技術の特許取得だ。J-PlatPatによると、特許第7883244号「販売管理システム、販売管理方法及び販売管理プログラム」は 2026-06-23 に登録され、 2026-07-01 に公報が発行された。
特許権者は篠崎大輔氏と株式会社Steady. Corporationの共同名義である。

特許公報には、国内の商品情報を取得し、選択言語へ自動翻訳して海外向けの商品説明に反映する構成が示されている。ただし、書誌・要約・請求の範囲に「DMARK」の名称は見当たらず、製品のどの機能が特許技術に対応するかは運営側への確認が必要だ。出品工程を標準化し、更新作業の負担を抑えようとする設計が、ブランドの方向性を具体化している。

一方、AIや外部委託を用いても、販売者の責任がなくなるわけではない。商品選定、委託先の管理、品質や納期、問い合わせ対応、現地の規制確認などは継続して必要になる。「一人でも取り組める」という価値は、作業が不要になることではなく、自社雇用だけに頼らず事業を設計できる点に置いて読む必要がある。

同企画は期間限定で公開され、運営側は「2027年、次回の公開はございません」と案内している。あわせて、「2028年以降に公開する場合でも、同じ金額でご案内できるとは限りませんので、予めご了承ください」と説明している。案内ページは、起業・副業・物販未経験者、物販経験者、経営者・個人事業主の三層に分けている。

登録者には無料WEBセミナー動画をメールで届け、さらに詳しいノウハウやコンサルティングを希望する人には、運営側によると有料(3,000円)のZoomセミナー・説明会を案内する。無料と有料の段階を分けた導線だ。

ソロ物販LABは、三山純氏をブランド代表、株式会社Steady. Corporationを運営会社、同社の代表取締役を岩本淳氏とする。篠崎大輔氏は「タイ輸出通販 メイン講師」を務める。「用意する椅子は、ひとつでいい」をブランドコンセプトに、「雇用のいらない、50年続く億物販を生み出す」をミッションに掲げる。後者は収益を保証するものではなく、少人数で長く続けられる事業を志向する表現である。

今回の取り組みで問われるのは、蓄積した知見をどこまで透明な運用設計へ変えられるかだ。タイ市場での需要の見極め、法規制や物流、費用、支援範囲といった実務情報を示し、参加を検討する人が自ら判断できる材料を整えられるか。特許取得を一つの節目に、その仕組みが日本の小規模事業者とタイの消費者を持続的につなぐ基盤へ育つことを期待したい。

【取材/執筆:Y.U】
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