浜辺美波が主演を務め、安田顕、成田凌が共演した2020年のドラマ「アリバイ崩し承ります」。原作は大山誠一郎による同名推理小説で、「2019本格ミステリ・ベスト10」で第1位に輝いた人気作だ。

(C)テレビ朝日・MMJ
都心から離れた"那野県"の商店街で、祖父から受け継いだ「美谷時計店」を1人で切り盛りしている店主・美谷時乃(浜辺)。生前の祖父から時計の修理技術と共に"アリバイ崩し"の方法も叩き込まれていた時乃は、1回5000円の成功報酬でアリバイ崩しを仕事に出来ないかと考えていた。そんなある日、時乃は地元の精肉店で、警察庁から那野県警捜査一課に赴任してきた察時美幸(安田)と出会う。"野沢菜コロケ"を巡って言い合いをしていた2人は、交通事故と遭遇。車にはねられたのは有名な推理作家・奥山新一郎(丸山智己)だったのだが、彼は意識朦朧の中、「さっき、人を殺した」と言い残し、意識不明に。事件の予感がして早速、アリバイ崩しの営業をかける時乃をあしらい、美幸は事件現場と思われるマンションへ向かう。しかし、捜査を進めるうちに、奥山には犯行が不可能だということが判明する。鉄壁のアリバイを崩すため、美幸は県警の刑事たちには内緒で、時乃にアリバイ崩しを依頼することにする...。
■明るく人懐っこい時乃を、浜辺美波が可愛らしさ全開で好演!

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浜辺は主人公の時乃を、実にチャーミングに演じている。物語の冒頭で"野沢菜コロケ"を求めて歌いながら商店街に出向き、念願のコロケを目の前にした時の満面の笑顔には、一瞬で心を射抜かれるほどだ。時乃の明るい雰囲気や無邪気さ、人懐っこさを浜辺がしっかりと体現している。一方で、那野県警の刑事・渡海雄馬(成田)が自身に好意を寄せていることに気付きながらも、事件の捜査内容を聞き出すためであれば、雄馬の手を握って上目遣いをするような小悪魔的な一面も。しかし、そんな場面でも時乃から"ずるさ"よりも"いたずらっぽさ"を感じられて嫌味がないのは、キャラクターの好感度を最大限に引き出す浜辺の資質と言えるだろう。

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そんな時乃も、事件の糸口を掴んだ時には真剣な表情を見せる。推理を披露する時の真っすぐなまなざしは観る者を魅了し、時乃の口から語られる推理によって事件が紐解かれていく展開は痛快だ。
■安田顕、成田凌との掛け合いでクスっと笑えるコミカルさも魅力

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そして、無邪気な時乃とプライドの高い美幸とのチグハグな掛け合いも楽しい。美幸はプライドの高さから県警の刑事ともスムーズには打ち解けられず、時乃のアリバイ崩しにも最初は頼ろうとはしない。しかし、彼女の勘の良さを買って結局は時乃に頼ることになるのだが、その関係は周囲の刑事たちには絶対に秘密。時乃の崩したアリバイをさも自分の手柄かのように語ったりもする。キャリアの道を進んできた刑事と聞くと堅物とも言える役どころだが、そんな中で安田が随所で見せるコミカルさがアクセントとなって、美幸がより魅力的なキャラクターになっている。

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成田演じる雄馬は、地元選出の大物国会議員の父親を持つ"ボンボン刑事"で、同僚や上司からも常に忖度されている。そんな中で時乃への好意を隠し切れずにデレデレと話したり、美幸に何かと突っかかろうとしたりと、そうかと思えば事件現場で的外れな推理をしたりと、いわゆる"小物感"が否めない。"二枚目"が板につく成田が、そんな雄馬をナチュラルに演じているのも面白い。時乃の家に下宿する美幸に嫉妬して敵対心をむき出しにしたり、2人の仲を疑っては、あれこれと探りを入れたり...と、雄馬を軽快に演じる成田の演技に思わずクスっと笑える。

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凶悪事件を巡るミステリーでありながら、軽妙な会話劇や人間模様の温かさもあり、ミステリーとコミカルの絶妙なバランスで織りなされている本作。主人公を明るく可愛らしく演じた浜辺はもちろん、安田と成田の演技も楽しみながら見てほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
アリバイ崩し承ります
放送日時:2025年9月26日(金)12:40~
チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます