2026年も7月を迎え、本格的な夏が近づいてきました。そんな季節にぜひ遊んでほしい作品のひとつが、『LoveR Kiss Endless Memories』(以下、『LoveR Kiss EM』)です。
本作は2025年11月に発売されたため、この夏が、本作にとって初めて迎える夏となります。

また、Nintendo Switch 2版となる『LoveR Kiss Endless Memories Nintendo Switch 2 Edition』が、2026年4月30日に発売されました。そこで今回は、シリーズで最も新しい「Nintendo Switch 2 Edition」のプレイ体験を通じて、『LoveR Kiss EM』ならではの魅力についてお伝えします。

■『LoveR』シリーズの集大成となる一本
本作のゲーム体験に触れる前に、まずは『LoveR』シリーズの歩みを簡単に振り返っておきましょう。『LoveR Kiss EM』は完全新作ではなく、『LoveR』をベースに改良と追加要素を積み重ねてきた、シリーズの集大成とも呼べる作品です。

シリーズの原点となる『LoveR』の時点で、男子高校生を主人公に、同じ敷地内にある学校へ通う女子生徒たちと交流を深めながら、写真撮影を通して関係を築いていく恋愛SLGという礎が作り上げられました。

当初は6人の女子生徒が攻略対象でしたが、後に発売された『LoveR Kiss』では教師の「冴稀陽茉利」が新たに加わり、「女性教師と男子高校生」という新たなシチュエーションも楽しめるようになります。こうした変化を経て、本シリーズは着実にパワーアップしていきました。

そうしたシリーズの先端に立つのが、『LoveR Kiss EM』です。攻略対象や各種システムを受け継ぎつつ、新たな撮影スポットやコスチュームが追加されたほか、UIもブラッシュアップ。さらに新モードまで搭載され、順当でありながら着実な進化を遂げています。

しかも本作には、過去に配信されたDLCのほぼすべてを収録。
撮影時に選べる衣装やシチュエーションが大幅に増え、フォトライフの充実ぶりはシリーズ最高峰といえる内容になりました。まずはNintendo Switch版とPC版が展開されており、2026年4月に「Nintendo Switch 2 Edition」も仲間入りを果たします。

物語の舞台は、夏休みを中心とした約2か月間です。本作にとって初めて迎える現実の夏と重なるこのタイミングは、作品の空気感をより深く味わうのにも絶好と言えます。

■恋愛SLGらしさを支える、「話題ジュエル」の絶妙なゲーム性
『LoveR Kiss EM』のゲーム体験の中心となるのは、やはり写真撮影です。しかし、ヒロインたちは、いつでもどこでも撮影に応じてくれるわけではありません。その同意を得るために重要なのが、会話を通して気分を盛り上げることです。

ヒロインたちと出会い、画面下部に並ぶ「運動」「勉強」「趣味」などの「話題ジュエル」を選択することで、会話を進めていきます。選んだ話題に応じてテンションゲージが上昇し、このゲージが高いほど撮影のお願いを受け入れてもらいやすくなります。無事にOKがもらえれば、いよいよ「フォトセッション」の始まりです。

ただし、一度の遭遇で選べる「話題ジュエル」は5回までです。会話が終わる前に、いかにテンションゲージを高められるかが重要になります。
どれかひとつを選ぶと、空いたスペースを埋めるためにスライドし、新たなジュエルが一番右へ追加される仕組みです。

そして「話題ジュエル」は、同じ話題が隣り合うと自動的にまとまり、「スタック」状態に変化。スタック数が多いジュエルほど、テンションゲージを大きく伸ばせるため、「どう選べば同じ話題をスタックできるか」を、自然と意識させられる作りになっています。

この「話題スタック」は、非常にシンプルでありながら、単純ではありません。ルール自体はまったく異なりますが、「役」を作ることを意識するプレイ感覚は、麻雀やポーカーにも似ています。

もちろん、このシステム単体だけを見れば、それだけで成立するほどの独立したゲーム性ではありません。しかし、本作の主役はあくまでも、写真撮影とヒロインたちとの恋愛です。これ以上複雑なルールにするとテンポが損なわれ、本来の魅力まで薄れてしまう恐れがあります。そのため、このくらいのゲーム性がちょうどいい塩梅だと感じました。

また、恋愛系のゲームでは「好感度が上がる選択肢を選ぶ」という会話システムも珍しくありません。しかしこの手の作品は、回数を重ねるうちに作業感が強くなりがちです。

対して『LoveR Kiss EM』の「話題ジュエル」は、スタックによって効率よくテンションを上げるというゲーム性があるため、「もっと大きな役を作りたい」と考えるようになり、ゲームとしての手ごたえも生まれます。
そのおかげで、作業感はかなり抑えられているように感じました。

未プレイの人から見ると、『LoveR Kiss EM』は「写真を撮るだけのゲーム」という印象を受けるかもしれません。しかし実際には、かつて『ときめきメモリアル』などが築いたような「関係性を育むためのゲーム性」が、本作にもしっかりと組み込まれています。恋愛ゲーム黄金期の作品を楽しんだ世代にも、ぜひ注目してほしい作品です。

■物語は控えめ、それでも「フォトセッション」は唯一無二の体験だった
会話でヒロインのテンションを十分に高められれば、いよいよ本作の要ともいえる「フォトセッション」が始まります。しかし、その魅力を語る前に、本作で気になった点に触れておきましょう。

まず、写真撮影と並ぶもうひとつの柱であるストーリーですが、人によっては少し物足りなく感じるかもしれません。恋愛ゲーム作品には、激しいドラマや涙を誘う展開を描くものも数多くあります。しかし、『LoveR Kiss EM』が描くのは、あくまで学生たちの日常の延長線上にある恋愛です。

劇的な事件が次々と起こるわけではなく、等身大の関係性を丁寧に描いていく作風は、親しみやすさにも繋がっており、決して短所ではありません。ただし、有名な恋愛ゲームのような心を激しく揺さぶるような物語を期待すると、肩透かしを覚える可能性はあるでしょう。

もうひとつ気になったのは、写真撮影の要となる3Dグラフィックです。
シリーズを重ねるごとに着実な進化を遂げていますが、近年の高精細な3Dモデルと比べると、細かな部分で粗さを感じる場面がありました。また、ポーズやシチュエーションによっては、髪が衣装やオブジェクトを貫通してしまうケースも確認しています。

こうした点は、人によっては見逃せないマイナス要素になるでしょう。その評価はもっともであり、無理に擁護するつもりはありません。しかし、「フォトセッション」がもたらす体験には、それらを補えると感じたほど魅力がありました。

■カメラ越しだからこそ見えてくる、ヒロインたちの新たな表情
「フォトセッション」の詳細については、今回は割愛させていただきます。というのも、指定できるポーズや表情、姿勢だけでも非常に多彩で、細かく説明するだけでも相当な文章量になってしまうためです。

細かな調整まで可能な「PROフォトセッション」まで含めると、それだけで一本の記事が書けてしまうほどのボリュームがあります。そのため今回は、システムの説明ではなく、実際にプレイして感じた体験を中心にお伝えします。

個人的な結論を先に言えば、本作の恋愛は「写真撮影を通して完成する」と強く感じました。

「フォトセッション」は、ヒロインと遭遇した場所で始まります。教室や中庭、体育館、プールなど、学校内だけでもロケーションは実に豊富です。
また、体育の授業なら体操着、プールなら水着というように、その場面に応じて衣装も異なります。そのため、タイミング次第で被写体の撮り方も変わるなど、かなり変化に富んでいます。

撮影が始まれば、ヒロインに向けてポーズや表情を指示し、ときには褒めながら、カメラとの距離や角度を細かく調整し、自分だけの一枚を撮影していきます。

この体験で驚かされたのは、撮影を通じてヒロインの魅力が大きく増したように感じられたことです。これまでいくつもの恋愛ゲームを遊んできましたが、画面に映るヒロインたちの可愛さや美しさをそのまま眺めるのと、本作の写真撮影でヒロインたちに注目する感覚は、全く異なる体験です。

『LoveR Kiss EM』のヒロインたちは、プレイヤーの指示に応じてポーズや表情を変え、そのたびに新たな魅力を見せてくれます。しかも、彼女たちは言われるまま動くだけの存在ではありません。少し身じろぎをしたり、こちらの様子をうかがったりと自然な仕草を見せ、距離を詰めすぎると頬を赤らめて戸惑う反応まで返してくれます。

プレイヤーの振る舞いによって、その瞬間ごとに異なる魅力を垣間見せ、それを写真として切り取っていく。この、言葉にならないやり取りそのものが、主人公とヒロインの関係性を何より雄弁に描いているように感じました。

分かりやすい例が、幼なじみである「日向寺南夏」との撮影です。普段は男女というより親友同士のような距離感ですが、撮影で顔を近づけると、南夏は思わず赤面し、困ったような表情を浮かべます。
その何気ない変化だけに、思わずこちらも動揺し、心をくすぐられるような気持ちが湧き上がってきます。まるで、恋を疑似体験したかのように。

ファインダーを通して見えてくる、ヒロインの新しい一面。それを浮かび上がらせ、積み重ねていくことで、ゲームの中のヒロインと現実世界にいるプレイヤーとの距離が、少しずつ縮まっていくような体験を覚えました。

劇的な展開こそありませんが、等身大の恋愛を描く物語と、写真撮影を通じて深まる関係性。このふたつが組み合わさることで生まれる体験こそ、『LoveR Kiss EM』ならではの魅力だと感じました。

恋愛SLGと写真撮影を組み合わせたゲームは、遊ぶ人を選ぶジャンルでしょう。だからこそ、他では味わえない体験を提供してくれる作品とも言えます。少しでも興味を惹かれたのであれば、一度手に取ってみる価値は十分あるでしょう。

■表現規制が厳しくなる中で貫かれた『LoveR』らしさ
ここからは少し余談になりますが、『LoveR Kiss EM』という作品の存在自体にも、大いに意味があったように思います。

本作の写真撮影は、交流中に行う「フォトセッション」だけでは終わりません。恋人同士になった後の時間を楽しめる「ラヴァーズデイズ」、自由な環境で撮影を楽しめる「フリーフォトセッション」、さらに細かな指定まで可能になった「PROフォトセッション」など、多彩なモードが用意されています。

細かな違いは割愛しますが、どのモードも撮影の自由度が非常に高く、カメラワークの制限もかなり少なめです。作品によっては画角が厳しく制限されるゲームもありますが、『LoveR Kiss EM』では高所からの俯瞰やローアングルまで自在に調整できます。

そのため、プレイヤーの操作次第では、ヒロインたちのインナーまで撮影できてしまいます。セクシーな表現に対する目が年々厳しくなっている現在、これだけの自由度を備えた作品が、しかもNintendo Switch 2向けタイトルとしても発売されたことは、ひとつの大きな意義があったように感じました。

表現の自由は大切ですが、誰かを傷つけてしまうような表現は、もちろん避けなければなりません。そのため、どこまでを許容するのかという問いには、常に向き合い続ける必要があるでしょう。

しかし近年は、その基準自体が以前よりかなり厳しくなっているようにも感じます。かつては、家庭用ゲーム機でもセクシーな作品がいくつも発売されていましたが、近年は著名なシリーズでも新作の話題を聞く機会が減りました。

現在も積極的にセクシーなゲームを展開しているメーカーとしては、『バニーガーデン』シリーズで知られるqureateが挙げられます。ただ、『バニーガーデン』シリーズでは、胸の小さなキャラクターを登場させることにはリスクがあるため、ヒロインはいずれも豊満な体型で描かれています。これも、表現における線引きのひとつと言えます。

そうした状況の中で、『LoveR Kiss EM』は学生のヒロインを題材に、自由な写真撮影というゲーム性を維持したままリリースされました。このゲーム性自体は、シリーズ第1作『LoveR』で2019年に打ち出されたものですが、裏を返せば、2019年当時の表現を2026年になっても貫き続けた作品とも言えます。

その道のりは、おそらく平坦なものではなかったでしょう。実際、『LoveR Kiss EM』は当初、Nintendo Switch版に加えてSteam版も発売予定でした。しかし、諸般の事情によってSteam版は見送られ、PC版はDLsiteやGOG.com、DMM GAMESなどで販売される形となりました。この経緯だけを見ても、本作の発売までに少なからぬ苦労があったことがうかがえます。

PC向けですら販売先が限られる状況の中、それでも家庭用ゲーム機ではNintendo Switchに続き、Nintendo Switch 2への展開まで実現しました。

「Nintendo Switch 2 Edition」という形だからこそ実現できた可能性もありますが、プラットフォーマーである任天堂、そして発売元のドラガミゲームス、その双方の努力があったことは間違いないでしょう。

今後も、このようなセクシーゲームが家庭用ゲーム機で発売され続けるのかは分かりません。だからこそ、このジャンルを好む人には、『LoveR Kiss EM』という作品の存在を知っておいてほしいと願わずにはいられません。もちろん、興味を持ったのであれば、実際に遊んでもらえたらなお嬉しいところです。

とはいえ、誰彼構わず勧める作品ではないのも確かです。興味のない人へ無理に薦める必要はまったくありません。気になった人がこっそりと遊び、その魅力を同じ趣味を持つ人へ静かに伝えていく──そのくらいの広がり方が、今の時代におけるセクシーゲームにはちょうどいいようにも感じます。

実のところ、今回の記事も、そうした想いから書いた一面もあります。もし、この記事をきっかけに、誰かひとりでも『LoveR Kiss EM』を遊び、さらに別の誰かにこっそりと魅力を伝えてくれたなら、これほど嬉しいことはありません。どうか、好きな人にだけ、こっそりと魅力が広まりますように。
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