そうはいっても、武家などの上流階級では「一生涯夫に仕え、家を守るのが当然」とされていたので、親の決めた相手とお見合いして結婚、ということが多かったようです。その点、庶民の恋愛は結構進んでいたとか。
今回は、江戸時代の恋愛事情を、”夜の営み”にフォーカスし、これまでの記事を交えながら紹介します。
■江戸時代の大人のおもちゃ事情
現在ではオンラインショップでもアダルトグッズは販売されており、Amazonでも取り扱いがあるほど。アダルトグッズには多種多様な商品が存在しますが、江戸時代にはすでに、現在売られているグッズの原型となる性具が使われていました。
とはいってもその多くは海外から輸入されたもので、アダルトグッズを取り扱う専門店まであったのです。お江戸で人気の専門店だったのが、「四目屋(よつめや)」。
なんと通信販売まであった!江戸時代に誕生した日本初のアダルトグッズショップ「四目屋」
四目屋は一応、薬屋さんの体で商いをしていたようですが、性行為に関連したさまざまなグッズが販売されていました。現在の東日本橋1丁目付近のにぎやかな場所にお店を構えていたので、かなり繁盛していたのかもしれませんね。
江戸時代に使われていたグッズでポピュラーだったのが、「張形(ディルドのようなもの)」や、男性器にかぶせて使用する「鎧形(よろいがた)」など。
別名・助け舟(笑)江戸時代、夜の営みで男たちを支え続けた性戦具「鎧形」!
どう使うん?ってものまで!葛飾北斎による江戸時代のアダルトグッズ紹介「魂胆遣曲道具」
なお、四ツ目屋などの客は、男性ばかりではなく、大奥の女中たちも御用達だったようです。
大奥の女中も御用達だった?江戸時代の大人のおもちゃ事情
■江戸時代の同性愛事情
江戸時代の書物や浮世絵には、当時の男色(男性同士の同性愛)の環境がどのようなものだったかを知る資料が豊富に残されています。実際、江戸時代以前は男色の経験がある男性は多かったのですが、男色の関係にいたる理由は”快楽のため”だけではありませんでした。
江戸時代以前の男色は決して「快楽のため」だけではない?恒例の儀式や同志の契りを交わす意味も大きかった
男娼も存在しており、男娼は陰間と呼ばれ、男娼と遊ぶための「陰間茶屋」なる施設までありました。
江戸時代、男色のための陰間茶屋には客を満足させる為にネギが常備されていた?
男娼がいる江戸時代の「陰間茶屋」客は男性だけではなく女性にも人気だった?
一方で、江戸時代の女性同士の恋愛、レズビアンの文化に関しては、当時の書物や浮世絵を見ても、あまり触れられていません。
実際に、江戸時代にレズビアンはほぼ存在していなかったのか?というと違い、男子禁制の女の園「大奥」や、江戸吉原の遊廓、女牢の中などでは、レズビアンは少なくなかったと言われています。
記録が少ない江戸時代のレズビアン事情…女性の同性愛の環境はどのようなものだったの?
擬態的な同性愛という奇妙な風習。
■江戸時代の愛人稼業
江戸時代の人々は現代に比べ、男女の肉体関係に対しておおらかな考えを持っていたと言われることがありますが、浮気・不倫も多かったようです。
春画に学ぶお江戸の性事情。亭主も女房も浮気してた?どこまでも自由奔放な江戸っ子
そして、愛人というと眉をひそめる方もいるかもしれませんが、江戸時代は愛人稼業を自ら選択する女性もいました。結婚したくない女性にとっては、現代のようにキャリアウーマンとして生きるという道はほとんどありませんでした。誰かの財力をあてにするとなると、愛人になるのが手っ取り早い方法だったのです。
江戸時代の愛人稼業。
ただし、現代の日本では、既婚者が夫や妻以外の異性と大人の関係を持つこと自体は犯罪行為ではありませんが、江戸時代は不倫は「密通(みっつう)」と呼ばれ、密通が発覚した際には、とても重い刑が待っていました。
江戸時代、妻の不倫が発覚した場合、夫は妻を「切り捨て御免!」とばかりに殺害することまで許されていたのです。
江戸時代は不倫をしたら死罪!さらに不倫した妻とその相手を殺害することが許されていた!
ちなみに、どんな場所で浮気相手と出会っていたかというと、江戸時代には待ち合わせや密会をするための「待合茶屋(又は 出会茶屋)」というお店があり、この場所は男女の密会にも使われていました。
茶屋で売春?男色を売る男娼までいた?江戸時代には色んなタイプの茶屋があった
■夜の営みは実際どんなものだったのか?
箱入り娘で恋愛もほとんどしていない女性をはじめ、夜の営みの方法を知らない人のために、交合の方法や入浴の心得などが紹介された書物などがありました。
また、春画には花嫁向けの参考図版としての役割もあったそう。春画の中でも特に立派なものは、裕福な家や身分の高い家の嫁入り道具として作られたとも言われています。
春画は新婚生活に必須?江戸時代、春画はただ見るだけのものじゃなかった
夜の営みで男同士で快楽を得るためには肛交は必然でしたが、男同士のみならず、遊女や妻にも試したくなる男がいたのも事実。密着度が高そうという期待なのか、はたまた味わったことのない快感への憧れなのか。ただ、女にとっては痛くて、たまったものではありません。
江戸時代の性事情。快楽の追求?男同士のみならず遊女や妻にも肛交はおこなわれていたようで
なお、肛交などにも使われていたと思われる、現在でいうところのローションが江戸時代にもありました。代表的なところでいうと「通和散」と言われるもの。
「通和散」をはじめ、精力増強やエクスタシーを得るための媚薬も、たくさん売られていました。前述した「四目屋」などにも置かれていたようです。
江戸時代にあった、夜の営みで快楽の高みへと誘う媚薬たち10種を一挙紹介!
ちなみに江戸時代の性用語には、「なめくじり」、「相舐め」、「覗き機械」など、現代の日本人からするととんでもないくらいインパクトのあるパワーワードがたくさんあります。
なめくじり、相舐め…江戸時代の夜の営みでの技の呼称がパワーワードすぎる
のぞき機械、1人せせり…そして春画。江戸時代、男女はどのように自慰を楽しんでいたの?
いかがだったでしょうか?そのほか、江戸時代の恋愛事情に関しては以下のページに纏めていますので、合わせてチェックしてみてください。
江戸時代の恋愛 – Japaaan
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan