現在、経済危機に見舞われている南米ベネズエラ。治安の悪化も深刻で、その首都カラカスでは、1日に平均11件の殺人事件が起きているという。
カラカスとその周辺の地域は、世界で最も危険な都市として知られている。それもそのはず、カラカスの警察官の数は必要とされる人数の30%。キャンペーンの舞台となったエルアティジョにいたっては、7%の人員しか配置されていないという。住民たちは危険から身を守るために外出は最低限にとどめ、街は日中でもひと気がない。外務省の「海外安全ホームページ」によれば、カラカス首都圏は「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」となっている。
エルアティジョで実施されたのは、「THE INVISIBLE POLICE(見えない警察)」キャンペーンだ。同市がキャンペーンのために用意したのは、使えなくなって放置されていたパトカー。そのボディを整備場できれいに磨き上げ、屋根に付いている赤青点滅ランプも光るものに取り替えられた。
そうやって外見だけは通常のものと変わらなく仕立てられたパトカーを、市内の危険地域数か所に配置した。
そのカメラに収められた映像がYouTubeで公開されている。映し出されるのは、パトカーを配置する前と後。同じような時間帯で見比べてみると、前はひと気がなかったのに対し、配置された後は、人々が出歩くようになったことが分かる。近くの野球場で子供たちが遊ぶ姿も。おそらく犯罪者たちも無人パトカーを警戒したに違いない。
動画の最後には、「If an invisible police did this, imagine what a real police would do(姿の見えない警察がこれだけの結果を出せたのなら、本物の警察だったら何ができるか想像してみて)」というメッセージが。街に警察官を増やすため協力してほしい、と人々に訴えかけている。(執筆:中井千尋 編集:岡徳之)

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