「あんた、地獄に落ちるわよ!」

この衝撃的なセリフで一世を風靡した細木数子さんが、11月8日にこの世を去った。83歳だった。

彼女といえば、『細木数子の六星占術 あなたの運命』シリーズが2017年に累計1億冊を突破するなど、「六星占術」が一躍ブームに。

『ズバリ言うわよ!』(TBS系)、『幸せって何だっけ~カズカズの宝話~』(フジテレビ系)と冠番組を持ち、一時は“視聴率女王”の名声もほしいままにした。

2008年にテレビのレギュラー番組を終了して以降、六星占術の活動に専念しつつ、“終活”の日々を過ごしていた。

2014年秋には、自身の勉強会で、自らの最期の時まで予言をしていた――。

「細木先生は、『私の寿命はあと5年。もう死に支度を始めているのよ』と話されていました。

毎年新年恒例となっている京都の初詣会では、2019年からは後継者の細木かおりさん(42)が壇上に上がっておられます」(知人)

2年ほどずれたが、自分の死期を悟っていた細木さん。六星占術の活動は、かおりさんに少しずつだが着実に継承されていった。

「かおりさんは細木先生の妹の娘、姪っ子にあたります。3歳まで一緒に暮らしたこともあり、本当の母のように慕っていました。

かおりさんは先生のマネージャーなどを経て、2016年に養子縁組して、細木先生の養女となりました。2019年1月には、細木さんが自身の会社の取締役を外れ、かおりさんとその夫へ実質的に会社を譲りました」(前出・知人)

会社だけでなく、細木さんが築いた莫大な資産も、かおりさんが受け継ぐことになる。

本誌が2016年に報じた東京・神楽坂にあるビルは、細木さん個人とこの会社が保有している。今でも高い評価額がつくという。

「人気の通りに面しており、地価は上がっています。土地だけでも2億5千万円ほどで、建設から時間がたっているとはいえ、上物と合わせて3億5千万円にもなる物件です」(神楽坂の不動産業者)

■不動産だけで合計15億円超

この細木さんの会社は、京都に2つの豪邸を所有しており、敷地面積は合計で600坪を超える。さらに本誌はこれまでに、細木さんが周辺の土地を買い進めて“寺院”を建設し、説法会を開いているとも報じていた。

「買い進めた周辺の土地は合わせて5千500坪を超え、立派な御堂や庭、集会場などがどんどん建っていきました。

これらの“寺院群”で、細木さんは多くの人を集めて説法会を開いていました。

この“寺院群”は2つの宗教法人で所有しているのですが、もともと、細木さんの会社が持っていた土地。2017年から昨年くらいにかけて、この宗教法人に寄付したり、売ったりしていました」(京都の近隣不動産業者)

弁護士法人「天音総合法律事務所」代表弁護士の正木絢生さんはこう解説する。

「会社法人が宗教法人への寄付を禁じるルールはなく、法的に支障はありません。また、宗教法人は不動産の寄付を受けても、贈与税は課せられません。

ただ、寄付する企業と寄付を受ける宗教法人で、実質的に“支配者”が同じとみられる余地がある場合には、相続税法第66条第4項に基づいて、宗教法人側が課税される場合はあります」

寄付を受けた宗教法人については、“細木さんの影下にある人物が代表”と報じられたこともあるが、細木さん側は否定し続けている。

とはいえ、こうした“京都の資産”の価値は――。

「宗教施設の売買実績は少なく、豪邸も古い木造で評価が難しいのですが、一帯のすべての土地や建物を合わせて12億円ほどになります」(前出・京都の不動産業者)

不動産だけで合計15億円超……。しかし、「遺産の全容は見当もつかない」と明かすのは、六星占術の書籍がブームとなった当時の細木さんを知る出版関係者だ。

「最も売れた2004年だけで、会社に数十億円もの利益をもたらしていて、細木さんへの接待費は年間1億円を軽く超えていたそうです。テレビに出ていたころは、出演料だけで年間5億円は稼いでいたそうですし、ご自宅にも本人いわく『何億円もするのよ』という家具がゴロゴロありました」

長い時間をかけて“終活”を進めていた細木さん。かおりさんに持てるすべてを引き継ぎ安心したのか、周囲には“やりきった姿”を見せていたようで――。

「最後にお姿を見たのは2019年秋ごろ。京都に来ると、2週間くらいいてはったようですわ。お屋敷の周りを、愛犬を連れて散歩されるんです。痩せた体で、ゆっくり一歩ずつ足を進めていて……。今思えば、豪邸やお寺の増改築が終わったころでしたから、最後に自分の目で見て回りたかったのかもしれまへん」(京都の近隣住民)

養女にすべてを譲り渡した“傑物”は、静かに旅立った。