85歳を超えてもなお、元気で若々しくチャーミング。現在もドラマや舞台などにも精力的に出演し続ける伊東四朗さんの記憶力はすさまじい。

百人一首、江戸時代の国の名前、世界の国名、アメリカ合衆国の州名、メジャーリーグのチーム名、Jリーグのチーム名、近代オリンピックの開催年と開催都市、歴代の天皇の名前など、記憶している事柄が膨大すぎるのだ。円周率に至っては、なんと1千桁もの数字を覚えているとか!

「私は役者ですからね。セリフを覚えて演じることが商売なんですよ。いつも脳をグルグル動かし続けていないと、新しい仕事が入ってきたときにセリフを覚えられなくなる。だからこそ、自分で課題を見つけて、毎日ぶつぶつつぶやいて、常に何かを覚えるようにしているんです。本当の意味での“脳トレ”ですね」

本来の目的は仕事のためとはいえ、自分に課したお題を覚えきったときには達成感があり楽しいし、暗記は昔から得意で好きなのだという。

伊東さんの記憶力維持法は、時間も場所も選ばず、常にぶつぶつつぶやくこと。いつも朝のウオーキングや移動中、撮影の合間など、ふとした瞬間につぶやくことが習慣になっている。

「私はところ構わずずっとぶつぶつつぶやくので、周りの人から見たら、本当に危ないジジイだと思いますよ(笑)。都道府県名をはじめ、江戸時代の国の名前、百人一首、メジャーリーグの球団名など、自分の興味のあることを見つけて、覚えるのも◎。歴史が好きな人なら、徳川家の将軍を初代の家康から15人覚えたり、旅行に興味のある人なら、地図を見ながら国内の川や山の名前を覚えたり、海外の国名や国旗を覚えたりしてもいいですよね。つぶやくだけでも、書いたり見たりして覚えてもOK。

自分なりにやりやすい方法を見つけ出してください!」

伊東さんに覚え方のコツを伺うと「覚えることに期限を設けない」ことと「義務化しないこと」だという。あとは、「やる気で乗り切るしかない。ひたすらやるだけ!」とのこと。

何を覚えたらいいのかわからない人は、身近なところから始めよう。私たちが住んでいる日本の47都道府県名は最低限覚えておきたいところだ。

「自分でルールを決めて覚えると、覚えやすくなりますよ。地球儀や地図を見ながら世界の国名を覚えたとき、私は海岸線沿いにぐるりと国名を覚えてから、内陸国を覚えていきました。ですから、47都道府県を覚えるときは、北海道からスタートして、海岸線沿いに時計回りか反時計回りにぐるりと覚えるといいかもしれません」

円周率はなんと1千桁まで暗記している伊東さん。円周率の語呂合わせの覚え方で有名なのは、「産医師、異国に向こう 産後薬なく産婦みやしろに 虫さんざん闇に鳴くころにや 弥生急な色草 九九見ないと小屋に置く」だ。これで約50桁を言えることになる。

「私は新聞のコラムでこの覚え方を知ったんです。ラジオのゲストに来ていただいた加山雄三さんも偶然同じ覚え方で円周率50桁を覚えていて、盛り上がったこともありますよ。

私は50桁をすぐに覚えられたので、70桁まで語呂合わせを作ってみたんです。70桁がうまく作れたので、次は100桁まで、さらに200桁まで……と試行錯誤して無理をして作っていったら、なんと1千桁まで自作の語呂合わせができあがったんです」

■「白米のありがたさはいまだに感じます」

若さと元気の秘訣は、健康的な生活にもある。

「年は取りましたが、私もずいぶん“長持ち”していますよ」

と笑う伊東さん。

まずは毎日の日課である朝のウオーキング。

「これまで1日約8千歩、毎日歩くようにしていたのですが、さすがにつらくなってきました。今は1日5千歩程度にしています。夜明けとともに自宅を出発して、1時間弱歩きます。夏は4時半くらいから、冬は6時前からスタート。朝から活動すると、体も目覚めるし、頭もさえるし、ぶつぶつつぶやいて覚えたいことも覚えられるし、いいことずくめなんですよ」

食事は1日2食。朝昼兼用で1食と、夜もしっかり食べるという。

「大好きな納豆は毎朝食べますし、白米は毎食食べます。パンよりご飯派ですね。

私は戦後の食糧難を経験しているだけに、白米のありがたさはいまだに感じますよね。食のこだわりなどは特になく、『体にいいから、この食材は絶対に食べる!』などとは決めたりしていません。家内が栄養バランスを考えて作ってくれるご飯を、好きなだけ食べるようにしています」

そして仕事や会食などイレギュラーなことがない限り、なるべく20時ごろにはベッドに入るように。

「途中で2回くらい目が覚めますが、6時間くらいはきちんと眠れていますよ」

「80歳の壁」を突破した伊東さんだが、今、悩んでいることが。

「そりゃあ年齢ですよ(笑)。でも仕方のないことですからね。仲のいい人たちがどんどん先に逝ってしまうので寂しくもありますが、私はもうちょっと頑張りたいです」

毎日脳トレを欠かさない伊東さんに倣って、みんなで「100歳の壁」を超えましょう♪

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