新型コロナウイルスに続く新たなパンデミックになるのか。
世界保健機関(WHO)は5月4日、乗客約150人を乗せて大西洋を航行中のクルーズ船「MVホンディウス」内で、“ハンタウイルス”の集団感染が疑われる事例が発生したと発表。
「ハンタウイルスは、主にウイルスに感染したネズミなど、げっ歯類の排泄物を介してヒトに感染します。ウイルスの種類によっては、致死率が約40%に達することも。通常、ヒトからヒトへの感染はないとされていますが、今回のクルーズ船では“ヒト・ヒト感染”が起きた可能性があるとして、警戒が強まっています」
そう解説するのは、米国ボストン在住の内科医で医学博士の大西睦子さん。
聞き慣れないハンタウイルスだが、どのような症状が出るのか。
大西さんは、「流行地域やウイルスによって大きく2つのタイプに分かれる」として、こう続ける。
「一つは、主にアメリカ大陸などで確認されている“肺”にダメージを与えるタイプです。初期症状は発熱や咳などインフルエンザに似ていますが、発症後数日で急激に悪化し、肺に水がたまる肺水腫や呼吸困難から死に至ることがあります」(大西さん、以下同)
もう一つは、主に欧州やアジアで確認されている“腎臓”にダメージを与えるタイプだ。
「こちらも初期症状はインフルエンザに似ていますが、進行すると腎不全を起こすことも。致死率は1~15%程度とされています」
いずれもワクチンや特効薬などはないという。
■濃厚接触でヒト・ヒト感染も
大西さんの話にあるように、なぜ、今回のクルーズ船では、“ヒト・ヒト感染”の疑いが強まっているのだろうか。
「じつは、南米で確認されているハンタウイルスの一種“アンデス型”は、家庭内などの濃厚接触で“ヒト・ヒト感染”の事例が過去に報告されています。
実際に、クルーズ船内の感染者からは、肺にダメージを与えるアンデス型が検出されたという。
■古い倉庫を掃除するときはネズミの糞尿に注意!
今後、新型コロナのように感染が拡大する可能性はあるのか。
大西さんは、「日本国内で感染が広がる可能性は低い」としたうえで、次のような環境では感染リスクがある、と警告する。
「ハンタウイルスは、ネズミの糞尿が乾燥し、空気中に舞ったものを吸い込むことで感染するケースがほとんど。長期間使っていない別荘や倉庫などに入った際、吸い込んでしまう可能性があります」
ネズミの糞はサルモネラ菌などの感染症を媒介することもあるので、掃除の際は注意が必要だ。
「いきなりホウキなどで掃くと糞を蔓延させてしまうので避けてください。まずは消毒剤で十分湿らせたモップなどで拭き取ることが大切です。ネズミの尿や糞を見つけた場合も消毒剤を吹きかけてください。5分ほど浸透させて、ペーパーなどで拭き取りましょう」
正しい知識を身につけ、万が一の感染リスクに備えよう。

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