見上愛と上坂樹里W主演の連続テレビ小説『風、薫る』(NHK)第8週第38回で、注目の新キャラクター・槇村宗一が初登場した。

NHK朝ドラ『風、薫る』で注目の34歳俳優。「ワイルドだけど...の画像はこちら >>
 洗練された身のこなしの役柄に対して、野性味を兼ね備えた上杉柊平が演じている。
彼の演技が醸す洗練と野性味、ディープな声色の魅力が総合された適役といえる。

 そこには、ファッション、映画、音楽など幅広いカルチャーを吸収してきたルーツが関わっている。ワイルドだけれど品がいい、上杉柊平の魅力とは?“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。

洗練と野性味のいい加減を心得た演技

NHK朝ドラ『風、薫る』で注目の34歳俳優。「ワイルドだけど品がある」演技の裏にある“文化的ルーツ”とは
株式会社TSIホールディングス リリースより
『風、薫る』第8週第38回、ときめきの風が吹いた……。主人公・一之瀬りん(見上愛)が上京してからというもの、何かと世話になっている瑞穂屋にやってくる客たちは、本作タイトルに相応しい新しい風の担い手になっている。

 りんがトレインドナースになるための実習で悪戦苦闘する中、同回では常連客・島田健次郎(佐野晶哉)の文学仲間である槇村太一(林裕太)の兄・槇村宗一が初登場する。宗一は明治政府の役人で、東京府の会計課で働いている。弟たちと入店するなり、物腰柔らかく、紳士的で洗練された雰囲気の人物だとすぐにわかる。

 それでいて太一に「兄貴、奥はもっと面白いぞ」と言われ、「おぉ、そうか」と返答する深い声色には意外なほど野性味がある。このギャップ。演じるのは上杉柊平だ。上杉本人が醸す雰囲気とも相まって、洗練と野性味のいい加減を心得た演技が視聴者を魅了する。

ワイルドだけれど品がいい、上杉柊平のディープな声に導かれて

 宗一が店の奥に移動すると、りんの妹・一ノ瀬安(早坂美海)が何やらときめいた様子で見つめた。奥から戻り、また奥に移動する宗一と安が初めて言葉を交わし、画面上に風の効果音が流れて場面はさわやかに締めくくられる。


 洗練と野性味。そして深い声色……。これらの要素が、上杉柊平特有の持ち味である。宗一役はこの3つをうまく総合した(できた)役柄といえるが、演技以外のシチュエーションのほうがもっとわかりやすいかもしれない。公式YouTubeチャンネル「上杉柊平の3rdPlace」で公開されている動画が好例だ。

 たとえば、「『東京vlog』そうだ、“上野”へ行こう」というタイトルの動画。銭湯でまったりお湯に浸かり、サウナと水風呂を往復する。その間、アメリカのラッパーであるタイラー・ザ・クリエイターのファッションを参考にしているなど、カルチュラルなトークには事欠かない。

 風呂上がりの一杯を軽やかに楽しみ、「飯食いに行こうよ」とワイルドに声色を変える。ここでも、上杉柊平のディープな声に導かれ、ワイルドだけれど品がよく、洗練された趣味嗜好と野性味溢れる魅力が華やぐ。

上杉柊平の文化的ルーツとは?

 他の動画にしろ、上杉が好むものを通じて彼のパーソナリティを深く知ることができる。ファッション、音楽、映画など、文化への興味関心は幅広いが、それらを縦横無尽に吸収してきた文化的ルーツがある。
まず世田谷生まれの彼が外の世界に目を向け、ローカルな場所に身を置いた留学経験がある。

 留学先に選んだのはオーストラリアのウーロンゴンだった。そこで舞台芸術に触れ、上杉の目を演技の世界に向かわせた。また同時にストリート文化にも接近した。

 R&Bやヒップホップなどの音楽ジャンル、映画、ファッションが、上杉柊平というパーソナリティを文化的に形成しながら、多様なルーツとしてゆるやかに結びつき、合流した。

 俳優業の傍ら、ヒップホップグループ「KANDYTOWN」のMCとしても活躍している。多様な文化を興味の赴くままに心から楽しむというスタンス、スタイルが彼の表現に豊かな余白をうんでいる。

 上杉柊平が醸す洗練と野性味の魅力は、こうした文化的ルーツが育んだものなのだ。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。

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