2026年11月1日から、大鶴義丹演出、渡辺大主演で『下谷万年町物語』が上演される。会場にテントを特設する形式の、いわゆるテント公演となるが、2人の父たちによる礎(いしずえ)が11月に再び立ち上がる。


『下谷万年町物語』は、大鶴の父・唐十郎作の戯曲で、1981年、西武劇場での初演では蜷川幸雄が演出、渡辺大の父・渡辺謙が主演を務めた。渡辺大は「どんな思いで父がこの舞台に立ったのか、この作品と向き合ったのかを知るのが今から楽しみです」とコメントしている。

 そんな注目の舞台公演に期待を寄せながら、国際的な評価もある渡辺大の活躍を振り返っておきたい。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。

国際映画祭での受賞歴がある主演映画

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^ スペインの首都で毎年開催されるマドリード国際映画祭では、例年、日本映画がノミネートされることが本当に多い。

 カナリア諸島の港町ラス・パルマスの映画祭もアジア映画の上映に力を入れていることで有名だが、マドリード国際映画祭では主に日本の独立系作品が並び、日本映画を出品しやすい環境がある。

 開催年によっては、深田晃司監督や金子修介監督など、著名な監督の作品が外国語映画賞を受賞することもある。そして近年の受賞歴の中でも特に忘れがたい作品が、2018年に最優秀外国語作品賞と主演男優賞をW受賞した『ウスケボーイズ』だ。

 主演は渡辺大。日本ワインの地位を向上させようと奮闘する主人公・岡村秀史役を演じた。自分で一から栽培を始めようと決める場面がいい。ブドウ畑から出てきた秀史が、黙々とメモを取り、歩いていく寡黙な佇まい。これが、マドリード国際映画祭での受賞をもたらしたのだと思う。


父・渡辺謙が演じる主人公の青年期役で俳優デビュー

 俳優デビューでも寡黙な魅力を醸し出していた。浅田次郎原作、2002年に放送された時代劇ドラマ『壬生義士伝~新撰組でいちばん強かった男~』(テレビ東京系、以下、『壬生義士伝』)で、新撰組のメンバーである主人公・吉村貫一郎の青年期役を演じた。主演は、父・渡辺謙である。

 同作第1話序盤、渡辺謙演じる貫一郎のモノローグから盛岡の回想場面に入る。後の戦乱とは対照的に、妻との馴れ初めが牧歌的に描かれる。渡辺大演じる青年期の貫一郎は、初登場の瞬間から第一声を発するまで、押し黙っている。

 ぐっとこらえたような表情は初々しいが、沈黙の中に複雑な感情うずまく渡辺大の演技は見応えがある。時折、顔のアップが抜かれると、色っぽい眉、目、唇が父とよく似ていることがわかる。妹の杏ともそっくりだ。

演出・大鶴義丹、主演・渡辺大のテント公演

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大鶴義丹「令和状況劇場」旗揚げ公演『下谷万年町物語』(TOKYO MXリリースより)
『ウスケボーイズ』と『壬生義士伝』で、同じ共演者がいたことも見逃せない。大鶴義丹である。大鶴が演出する令和状況劇場の公演『下谷万年町物語』が、2026年11月に上演予定だが、その主演を務めるのが渡辺大だ。

 大鶴にとっても大きな挑戦となるテント公演である。
テント公演とは、野外に大きなテントを設営し、その中で芝居を見せる形式で、1967年に大鶴の父・唐十郎が新宿の花園神社境内に赤いテント(紅テント)を出現させたことに由来している。

『下谷万年町物語』も唐十郎作であり、1981年に西武劇場(現在のPARCO劇場)で初演された。演出は蜷川幸雄。主演は渡辺謙だった。渡辺大と大鶴義丹にとって、所縁の公演形式と演目が、新たなムーブメントになるかもしれない。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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