(台北中央社)半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の機密情報を不正に取得したとして、元社員らが国家安全法違反などの罪に問われた裁判で、知的財産・商業法院(裁判所)は27日、被告の元社員4人に最長10年の実刑判決を言い渡した。TSMC元社員1人が勤務していた東京エレクトロン(TEL)の台湾子会社には、執行猶予3年、罰金1億5000万台湾元(約7億6000万円)の判決が下された。
被告側は上訴できる。

台湾高等検察署(高検)知的財産検察分署の起訴状によれば、関与したTEL台湾子会社元社員は元TSMCエンジニアで、TEL台湾子会社ではマーケティング部門で勤務していた。TEL入社後の2023年下半期から25年上半期にかけて、TSMCからより多くの受注を獲得しようと、当時TSMCのエンジニアだった被告2人に中核的技術や営業秘密の提供を繰り返し要求し、表面加工に用いるエッチング装置の業績改善に役立てていた。回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル半導体のエッチング工程で、量産装置の供給資格を得るのが目的だったという。

TSMCは昨年7月、国家の中核的重要技術に関する機密情報が不正に取得されたとして検察に告訴。台湾高等検察署(高検)知的財産分署は同8月27日にTEL台湾子会社元社員とTSMC元社員2人を国家安全法違反などの罪で起訴した。同12月には、TEL台湾子会社を国家安全法違反などの罪で起訴。さらに今年1月、TSMC元社員1人やTEL社員を新たに起訴した。

知的財産・商業法院はこの日、TSMCの勤務歴があるTEL台湾子会社元社員に懲役10年、元TSMCエンジニア2人にそれぞれ懲役3年と2年、今年1月に起訴された元TSMC社員に懲役6年を言い渡した。TEL台湾子会社に対する罰金刑の執行猶予は、TSMCに1億元(約5億円)、台湾政府に5000万元(約2億5000万円)を支払うことを条件とした。

台湾では2022年に国家安全法が改正された。国家の中核的技術の営業秘密に関する条項が新設され、これが適用された判決が出されるのは初めて。


▽東京エレクトロン、組織的な関与を改めて否定

東京エレクトロンは27日、同社台湾子会社への有罪判決を受けて報道資料を発表し、捜査や判決で、同社や同社台湾子会社による「組織的な関与や機密情報の外部流出は確認されていない」と改めて強調した。また、台湾子会社が元従業員に対する監督義務を十分果たしていなかったと判決で指摘されたことを厳粛に受け止めているとし、情報管理体制のさらなる強化を図っていく方針を示した。

(林長順/編集:名切千絵)
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