物語の舞台は日本統治下の1938(昭和13)年の台湾。日本人作家と台湾人通訳が鉄道旅行を通じ仲を深めていくというストーリーで、植民地における統治する側とされる側の関係についても描いている。英訳版は2024年の全米図書賞翻訳文学部門でも受賞した。日本では「台湾漫遊鉄道のふたり」(三浦裕子さん訳)として出版されており、24年に「日本翻訳大賞」を受賞した。
授賞式で楊さんは、芸術や文学は政治から距離を置くべきだと考える人もいるとしつつ「文学はそれが育まれた土壌に背を向けることはできない」、「文学は本質的に政治から切り離せない」と述べた。
さらに「台湾人は植民地支配を経験し、侵略の脅威に直面してきた。圧倒的な力を持つ強権を前に、文学は役に立つのか」と問いかけ「だが私は常に、文学には力があると信じている」と語った。最後には「台湾人として生まれたのは幸運であり、台湾の作家としてここに立てたことは誇りだ」と締めくくった。
金さんは、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった後、台湾の作品だけを翻訳することに決めたと明かし、台湾の主権というテーマが「英語圏で挑発や笑いものにされない」日まで、「台湾がまだあるうちに行っておこう」と言う人がいなくなる日まで貫くと話した。
台湾の多様な言語環境や多民族性、多文化の現実を簡略化せずに翻訳したため、読者は苦労するだろうと言及。また、「1冊の小説が国全体を代弁する重責を負うべきではない」とも強調し、台湾のさまざまな声を英語圏へ届け、台湾文学を単一的なものとして単純化させないことを、自身を含む同世代の翻訳者たちに対して期待していると語った。
賞金は5万ポンド(約1000万円)。
▽ 頼総統が祝意 就任2周年の談話で
頼清徳(らいせいとく)総統は20日に行った就任2年の談話で同作の受賞に触れ、楊さんと金さんに祝意を示した。台湾の若い世代が世界の舞台で活躍できる実力を有している証しだと話した。
(陳韻聿、高華謙、溫貴香、葉素萍/編集:田中宏樹)








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