野生のピューマにロックオンされた女性の危機を救ったのは、メタリカ!(カナダ)

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 森の中でクマさんに出会ったら誰だって怖かろう。後からついてこられたら絶望しかない。
だが、自然豊かなカナダでは、クマ以外にも強い肉食獣が潜んでいる。

 カナダの森の中で、愛犬の散歩中に女性が遭遇したのは、なんと野生のピューマだ。しかもこのピューマ、女性と犬にロックオンしたようで、彼女たちの後をついてくる。

 ファンタジーの世界なら、仲間になる可能性もあったが、ここは弱肉強食がうごめくリアルな自然界である。この非常事態を何とかしなければならない。

 そして何とかなった。
魂を揺さぶるヘヴィメタルバンド「メタリカ」がこの窮地を救ってくれたのである。どういうことかって?こういうことだ。

【愛犬と森の中を散歩中、ピューマにロックオン】

 ブリティッシュコロンビア州バンクーバー島ダンカンに住むデニース・ギャラントさん(45歳)と愛犬マーフィーは、山や森に散歩に出かけるのが楽しみだった。昨年の夏のこと、いつものように自宅から車で30分ほどのところにある森へハイキングに出かけた。

 着いた時には既に夕暮れになっていたが、犬が散歩をしたいとおねだりしたので、彼女はそのまま人気のない森の中へと入って行った。

 しかし、数km進んだところで何かの気配を感じた。
首筋がぞわっとするような感覚を味わったデニースさんは、瞬間的に「何かが私を見ている」と感じた。

 振り返りってじっと目を凝らして見てみると、少し距離を保った場所でピューマがこちらを見ている。ずっと後をつけられていたのだ。

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 ピューマを見たデニースさんは、一瞬「なんて美しいのだろう」と思い、さほど恐怖心は抱かなかったという。

 しかし、ピューマは一向にその場を立ち去ろうとしない。じっと見られ続けていることに気付くと「もしかしてこれは危険な状況なのでは?」と察した。


 ピューマは少しずつ距離を詰めようとしていた。デニースさんは腕を大きく振り上げて、声をあげた。そして、ピューマの存在にまだ気づいていないマーフィーのリードをたぐり寄せ、ピタリと寄り添い、大きく見せようと威嚇してみた。

 それでもピューマはまったく動じない。あれこれ試しながら、デニースさんはポケットからスマホを取り出しその様子を録画した。

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Hungry Cougar Stalked me on Vancouver Island

 デニースさんとピューマと5分ほど見つめ合っていたそうだが、その恐怖から、まるで永遠のように感じられたという。


【メタリカの爆音メタルでピューマを撃退】

 なかなか立ち去らないピューマ。かといって、野生のネコ科に対して背を向けるのは危険なので、逃げることもできない。

 緊迫した状況の中、デニースさんはあるアイディアを思いついた。録画を止めてスマホのミュージックアプリからヘヴィメタルバンド、メタリカの曲『Don’t Tread on Me』を選んで大音量で流したのだ。

 曲のタイトルの意味は、「私を踏みつけにしないで」。つまり、私の領域に立ち入り蹂躙するなという意味だ。


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Don't Tread On Me

 効果てきめん!ピューマは向きを変えてすぐに茂みへと去って行ったのだ。

 曲の意味を理解してくれたどうかはわからないが、とにかくピューマを撃退することができた。野生のピューマはオスで体長1.8m、体重は100kgに達する。去っていくピューマは、思った以上に大きかったそうで、「あれに襲われていたら命はなかったかもしれない」と後から恐怖が這い上がってきたという。

 デニースさんは、その後、いつでもメタリカの曲が再生できるようにスマホを握りしめながら、やたら大声で愛犬に話しかけた。

何も知らないマーフィーは、そんな私の姿を見て「飼い主は気でもふれたのか?」と思ったことでしょう。

 道の真ん中をマーフィーとくっつくように歩き、なんとか車を停めた場所へ戻り、無事に帰宅したデニースさんは、この1件をFacebookに投稿するとたちまち拡散した。

【メタリカのメンバー本人から生電話が!】

 すると翌週、メタリカの関係者から「後日、バンドのメンバーがあなたと直接話したがっている」というメッセージを受け、デニースさんは驚いた。

 そして何日か経ったある日の勤務中に、メタリカのボーカル兼ギタリストのジェイムズ・ヘットフィールドから電話があった。

知らない番号がスマホのスクリーンに出たんです。いつもは仕事中だし電話は取らないのですが、上司が許可してくれたので出てみると、かなり低い声で「やぁ、デニース。メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドです。」って言われて、椅子から転げ落ちそうになりました。

 本当に本物のジェイムズ・ヘットフィールドなのか、最初は半信半疑だったというデニースさん。しかし、電話の後本人から「確認のために写真を送るよ」という写メが届き、間違いなく本物だったことがわかったという。

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 この出来事をデニースさんは次のように語っている。

Facebookには、多くの人から「今後、山や森に行くときは自分も“ピューマ除け”にメタリカの音楽をスマホにダウンロードしていく」というコメントを貰いました。

でも、全ての状況にメタリカで対応できるという保証はないので、効果がなくても私を訴えないでくださいね!(笑)私の場合には効果があった、というだけですから。

 なんにせよ、今はメタリカで命拾いできたと実感しているデニースさん。メタリカのメンバーも、デニースさんに電話をかけてきたほどだから、ピューマを撃退できたパワフルでヘヴィーな曲をきっと誇りに思っていることだろう。

References:.outsideonline.comなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:野生のピューマにロックオンされた女性の危機を救ったのは、メタリカ!(カナダ) http://karapaia.com/archives/52286981.html