前例のない大発見!2000年前の古代ローマの四輪馬車がほぼ完全な状態で発掘される(ポンペイ)

credit:Pompeii Sites
 イタリア南部、ナポリ近郊にはかつて、古代ローマ都市「ポンペイ」あった。ここの北側の住居遺跡を発掘していた考古学者たちがすごいものを発見した。
装飾が施された四輪馬車が、ほぼ完全な状態で出てきたのだ。

 ほぼ2000年近くも前のこの馬車は、鉄、青銅、スズで作られていて、手の込んだ青銅の装飾もきれいに残っている。イタリアで前例のない大発見だという。
【ポンペイの儀礼用四輪馬車】

 この四輪馬車は、ポンペイの壁から700メートル北西、チビタ・ジュリアーナという古代の邸宅の厩舎そばの柱廊の間から発見された。

 このあたりでは、2018年に飼い葉桶(飼料用の飼い葉を入れる桶)や数頭の馬の骨が発見されており、一頭は骨格全体がそっくり残っていて、くつわや鉄の馬具がそのままついていた。両耳の間には革素材に施されたらしい青銅の装飾品がついていた。


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【ほぼ完全な状態で発掘された、前例のない大発見】

 ポンペイの考古学公園管理者のマッシモ・オサンナは、このような馬車の発見は初めてだと発表した。

 前回の発掘のときに、実用的な馬車は発見されていたが、儀式に使われたと思われる、ふんだんな装飾が美しい馬車の発見はこれが初めてのことだという。

「この比類なき発見は、古代世界に対する私たちの理解をさらに進めてくれることでしょう」オサンナは語る。「おそらく、日常的に農作物を運んだりするための馬車ではなく、地域の祭りやパレードなどで使われたものと思われます」

 馬車は青銅で惜しげもなく飾り立てられているため、重要な儀式で使われていたことがうかがえる。

馬車の後部を飾るメダル型の浮彫には、エロス(サテュロスとニンフ)が表わされていていますが、多くの鋲にはエローテス(ギリシャ神話の愛と性交に関係する翼のある神々)が見られます。

古代の文献によると、巫女など女性たちはピレンタムという馬車を使って移動していたことがうかがえます。


今回発見された馬車が婚礼の儀式に使われ、花嫁を新しい嫁ぎ先へ送り届けるための乗り物だった可能性も捨てきれませんでした

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Archaeologists uncover ancient ceremonial carriage near Pompeii

【ローマのピレンタム馬車の見事な一品】

 見つかった馬車は、ピレンタムというクッションのついた四輪馬車であることがわかった。これは婚礼などの神聖な行列で、古代ローマの既婚夫人や貞淑な尼僧を運んだとされる。

 屋根があったと思われるが、たいていは開けていた。高度な力学システムとつながった鉄の車輪が内部で駆動していたのだろう。

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 馬車の両サイドは、彫刻が施された青銅のシートと赤や黒で塗られた木製のパネルが交互にはめこまれ、豪奢に装飾されている。

 背面には比喩的なシーンを描いた青銅や錫でできた丸いメダルが3つ並び、複雑で徹底した装飾が展開している。


 メダルは青銅のシートにはめこまれ、装飾的なモチーフに彩られていて、性的な行為にふける男女の姿が彫り込まれている。

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 青銅のシートの上部にも小さなスズのメダルがはめこまれていて、ここにもさまざまなことをしているキューピッドの姿が表わされている。馬車の下部の青銅には、王冠を被った小さな女性の頭部が描かれている。

 ポンペイ考古学公園の発表によると、チビタ・ジュリアーナ周辺の発掘は、遺跡のまわりにトンネルを掘って略奪を働く泥棒対策のためのプロジェクトの一環だという。

 馬車は見つかったとき、屋敷の壁や天井の崩壊や盗難を奇跡的に免れていた。

 馬車はポンペイ考古学公園の研究所に運ばれ、そこで噴火によってまみれた火山性物質を完全に除去して、復元作業に入る予定だ。


References:Pompeii Archaeological Park / Pompeii Sites/ written by konohazuku / edited by parumo

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